葛西臨海水族園ではこのほど、イソギンチャク「フォルスプラムアネモネ」の分裂が確認された。

8月19日のフォルスプラムアネモネ

フォルスプラムアネモネが3つに分裂

同園の世界の海エリア「南アフリカ沿岸」の水槽は、現地の海で見られるカラフルなイソギンチャク類を中心に、ツートンフィンガーフィンやロックサッカーといった魚類を展示している。

8月19日、飼育展示係・高濱由美子氏が朝の見回りをしていたことろ、いつもと違う様子のフォルスプラムアネモネが目に入った。普段はいわゆる「巾着」のような形をしているイソギンチャクだが、からだの一部が切れてそのすき間が広がり、棒状になっていた。そんな様子は、前日にはまったく見られなかったという。

外傷のようなものかとも思ったものの、最後に確認したのは前日の閉園後であり、夜の間に同居している魚がつつく可能性も低く、原因不明。イソギンチャクには分裂して増殖をする例がたくさん知られているため、ひょっとしたら分裂するのかも知れない。そこで引き続き観察を続けたところ、日中はほとんど変化がなかった。

左・8月20日の分裂後と、右・現在の様子。頻繁に場所を変えている

ところが翌朝になると3つに分裂。どの個体も体の一部が欠けた半円状をしており、分裂後に移動をしたらしくお互いに少しずつ離れていた。今回、最初に切れ込みが入ったのも、その後の分裂もタイミングは夜間だった。同氏は、「少しでも外敵の少ない時間帯を選んでいるのかもしれません。また、二晩で成し遂げた大胆な早業にも驚きました」と感想を述べた。

ちぎれるのは「あっ」という間だったものの回復には時間がかかるようで、しばらくは半円状だったが、何日もかけて少しずつすき間がふさがっていった。約2カ月がたった現在も、まだ完全に切れ目はふさがってはいない。同氏は、「餌のサクラエビなどもよく食べて健康状態は良好なので、じきに治ることでしょう。今後も様子を見守りたいと思います」と語っている。

同園の所在地は、東京都江戸川区臨海町6-2-3。