日産自動車は10月16日、電気自動車「日産リーフ」と電力供給システム「LEAF to Home」を活用したエネルギーマネジメントの実証実験を10月より開始したと発表した。

この実証実験は、エナリスのインセンティブ型ディマンドリスポンス(DR)実証実験に、日産が参加するものである。日産は、神奈川日産自動車の店舗で「リーフ」と「LEAF to Home」を使い、実証実験に取り組み、エネルギーマネジメントにおけるEVバッテリの有効性を検証する。DRとは、エネルギーの供給状況に応じて、需要側の消費パターンを変化させることで、より効率的な電力システムを構築するための方策で、東日本大震災以降、電力のピーク時間帯の需給ひっ迫が顕在化したことにより、注目を集めている。具体的には、電力会社の依頼に基づき、アグリゲータが需要家に節電要請を行い、その対価としてインセンティブを支払う仕組みのことである。節電要請時にエアコンや照明の操作によって節電を行うことが一般的だが、V2H(Vehicle to Home)ではEVから建物に電力を供給すると照明などを消灯することなく、系統電力の負荷を低減することが可能であり、商業施設などの節電が困難な施設においても有効な手段になると考えられている。

なお、実験ではV2Hを活用したピークカットの有用性、およびインセンティブ(報酬)による経済性の効果・検証・分析を行う。例えば、営業中に点灯している店舗ショールームなどの照明にV2Hを接続し、節電要請があった際にV2Hから照明に電力を供給することで、系統電力の負荷を低減し、その対価としてインセンティブを受け取る。今回の実証期間となる2014年10月~2015年1月では、平日8時~20時の間の3時間、月2~3回の節電要請を受ける予定という。

今後、さらなる再生可能エネルギーの有効活用や、発電設備の効率化による、環境負荷を低減したエネルギーマネジメントが求められる。その中でも、EVが持つ大容量バッテリを活用したエネルギーマネジメントはグローバルに行われている実証実験により、その有効性が確認されつつある。また、節電行動に対するインセンティブによってEVオーナーの経済性向上も加われば、EVの普及がさらに促進され、社会全体の低炭素化にもつながるものと見込まれるとしている。