京セラ、日本アイ・ビー・エム、東急コミュニティーは10月6日、電力需給バランスを自動最適化し、電力の安定供給を図る仕組みである自動デマンドレスポンス(以下、ADR)の実証試験を今年10月より開始すると発表した。

同試験は、ADRの国際標準規格「OpenADR2.0 Profile b」を採用し、電力逼迫時に出される節電要請(以下、DR信号)の発信から、電力需要家側(家庭や企業など)でのDR信号受信、EMS(エネルギーマネジメントシステム)による電力利用の制御、DR実績報告までを自動で行うもの。

実証フィールドは、京セラ横浜事業所ほか計25ヵ所で、各施設では、DR信号の指示を受けて、EMS対応機器(照明、空調、蓄電池など)を制御し、電力消費の抑制・最適化を図る。全施設の節電結果をとりまとめ、発電事業者へ結果をフィードバックする。

ADRの仕組みが確立することで、発電事業者は、電力使用量をリアルタイムかつ正確に算定でき、余剰電力・設備の削減、投資の抑制を図ることが可能になる。一方、需要家も節電要請への対応や省エネ活動の取り組みに応じてインセンティブを受けられることから、電力小売市場の活性化にもつながると期待される。

これら発電事業者と需要家を取りまとめ、仲介する役目を担うのがアグリゲータ(仲介会社)であり、3社は各種アグリゲータの認証を取得している。 今回の実証試験における3社の役割は以下のとおり。

  • 京セラ→試験の全体統括のほか、ADRシステムの設計・運用、EMSの設計・運用、データ解析、試験フィールドの提供、効果検証

  • 日本IBM→IBMのサービス・デリバリー・プラットフォーム(SDP)にVEN(バーチャル・エンド・ノード)を実装したDRサーバーの提供、データ解析、効果検証

  • 東急コミュニティー→ADRの効果検証、MEMSアグリゲータとしてマンションをはじめとした集合住宅およびビル・商業施設・公共施設など管理する多様な施設への展開検討

自動デマンドレスポンスの実証試験の仕組み