Facebookは実名ベースのソーシャルネットワークを最大の特徴としているが、そのポリシーゆえにドラッグクイーン(女装したパフォーマー)など一部ユーザーのアカウントが停止されるという事態が今年9月に生じた。これに対し米Facebookは10月1日、実名ポリシーの施行にあたって一部ユーザーに不快な思いをさせたとして謝罪した。今後、実名登録のポリシーを実行するにあたってツールやプロセスを改善すると約束している。

今回の一件は、Facebookがこの実名登録ポリシーの下、実名ではないが通称の名前を持つユーザー数名のアカウントを停止してしまったことに端を発する。これらユーザーの多くはドラッグクイーン、ドラッグキング(男装したパフォーマー)、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイ・セクシャル、性同一障害のトランスジェンダーの頭文字を取ったもの)のコミュニティで、「Sister Roma」「Lil Miss Hot Mess」などステージで利用する名前で登録していた。

ポリシーの下、システムにより実名ではないと見なされたユーザーはIDの提示により実名であることを証明する必要がある。Facebookはこれらドラッグクイーンらに対し通常のプロフィールページからファンページに変更することを求め、これに対し抗議が起きていた。9月11日には陳情サイト「Change.org」において、ステージ名でFacebookアカウントを利用できるよう署名を求める活動も始まっていた。

これを受け、Facebook製品担当トップのChris Cox氏は10月1日付けで謝罪文を掲示した。「この数週間、Facebookアカウントの利用で不快な思いをさせたことを謝罪する」とCox氏。一方で、偽名を利用しているという報告を毎週万単位で受けており、この中に紛れていたと自社を弁護した。

報告された偽アカウントのうち、ほとんどがなりすまし、いじめ、ヘイトスピーチなどの悪意を持ったアカウントが作成されているという。この実名ポリシーは10年以上施行されており、安全なコミュニティ作りに寄与してきたとも説明している。

Facebookは法的な実名でなくても、実生活で利用している名前の利用を認めているが、本物かどうかを示すツール、レポートや施行のためのメカニズムなどの点で改善の余地があるとCox氏は記している。