9月27日11時53分頃、長野と岐阜の県境にある御嶽山で7年ぶりに噴火した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5月に打ち上げた陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)を通じて噴火により発生した窪みや降灰堆積の様子を捉え、公表している。

降灰堆積の様子も推察

観測はJAXAと防災関連機関との間の災害に関する衛星情報提供協力の枠組みにより、火山噴火予知連絡会(事務局: 気象庁)及び内閣府(防災担当)からの要請によって行い、取得したデータを噴火前後の地形変化や降灰状況の確認などのために提供。JAXAでは引き続き防災関連機関と連携しながら、御嶽山の観測を継続することを計画している。

御嶽山山頂付近の噴火前後の比較画像。左が噴火後、右が噴火前で、黄色で囲まれた部分に噴火前にはなかった窪地が認められる

上記の図では、御嶽山の山頂付近を「だいち2号」に搭載されたLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)で、噴火が発生する前の先月8月18日に観測した画像(右)と、噴火後の9月29日に観測した画像(左)を比較している。

PALSAR-2 はLバンド(1.2GHz帯)という波長が長い電波により観測するため、同レーダにより噴煙を透過して火口の様子を捉えることができる。噴火後の画像では、噴火前にはなかった長さ210m・幅70mほどの窪みがうかがえるが、これは今回新たに形成された噴出口(火孔)と思われる。

PALSAR-2による御嶽山山頂の降灰堆積(紫に見えるところ)。観測は昇交軌道(日本上空を南から北に移動する観測機会)で右向き(西から東)に行った

上記の図では、8月18日と9月29日の御嶽山山頂部を同じ軌道から観測した画像の変化を抽出したもの。変化したところは紫に色付けされており、衛星画像においても御嶽山山頂の火口の周辺に降灰堆積が多く分布することが推察できる。