これまでとは異なる遺伝子配列のデングウイルスが確認された

厚生労働省は9月29日、国内で感染者が増えているデング熱の原因となるデングウイルスの遺伝子配列が、これまでとは異なったパターンのウイルスを確認したことを明らかにした。従来とは遺伝子配列が異なるデングウイルスが確認されたのは初めてで、同所周辺以外にも別のデング熱感染源がある可能性が高いとみられる。

デング熱はデングウイルスを原因とする急性の熱性感染症で、主な症状として発熱や頭痛、筋肉痛、皮膚の発疹などがある。蚊がデングウイルスに感染した人の血を吸い、体内で増殖させた後に別の人間を吸血することで、デング熱の感染者が増えていく。厚生労働省によると、これまでの国内患者は150人になる。

今回、これまでに明らかになっていたデングウイルスの遺伝子配列とは異なるウイルスが検出されたのは、感染地域が不明とされていた静岡県在住の20代の男性。9月9日および10日に熱海保健所管内の勤務先において蚊に刺された可能性があるという。

これまでにも代々木公園のほかに、新宿中央公園や千葉県千葉市などでも感染が確認されていたが、いずれも遺伝子配列は一致していた。そのため、当初より感染者が多かった代々木公園周辺で感染した人が、同所とは異なる地域で蚊に刺されることで、感染エリアが拡大していると考えられていた。

だが、この20代の男性から検出されたデングウイルスの遺伝子配列は、これまでのものとは異なっていたことが判明。このため、厚生労働省は「代々木公園等を推定感染地とする症例からは独立した、他の輸入症例を起点とする感染事例と考えられます」と、別ルートでの感染の公算が大きいことを指摘している。また、この20代の男性の推定感染地域は不明だという。

この事態を受けて、厚生労働省は各自治体と連携しながら、デング熱への対策を講じていく方針を示している。

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