性欲に関して、男性は加齢と共に減退していくのに比べ、女性は逆に増していく……なんていわれるが、これは本当なのだろうか。産婦人科医で性科学者の宋美玄医師に教えていただく。

男女共に性欲のピークは20代

男女で性欲のピークに差はあるのだろうか

男女ともに性欲を司るホルモンは「テストステロン」です。これは男性ホルモンの一種ですが、女性にも分泌されています。分泌量のピークは男女ともに20歳前後で、その後は徐々に減退していきます。

一方、女性ホルモンの1つである「エストロゲン」は主に生殖活動のためのものですが、これにも多少は性欲を司る機能があるとされています。分泌量は、初潮を迎えて以降増え続け、20歳前後でピークを迎え、以降は次第に減っていきます。

上記のことから、生理学的には性欲のピークは男女ともに20代とされています。また、性欲は全年代で男性のほうが強いというのが通説です。

ただし、「年齢を重ねるにつれ女性のほうが性欲が増す」といわれるようになった要因もなくはないと思います。性欲は、単にホルモンに起因するだけのものでなく、社会的、精神的な要素も関与していることが多いからです。若いうちは苦痛でしかなかった性交渉が、経験を重ねるにつれてよさがわかってきたという人もいます。また、子育てがひと段落し、精神的にも肉体的にも余裕がうまれた結果、性欲につながるというケースも考えられます。

女性の場合、精神的な要因で生理周期が乱れるということは誰にでもあることでしょう。同じように、性欲についてもホルモンだけが左右しているというわけではないのです。

※画像は本文と関係ありません。

宋美玄(そん みひょん)医師

産婦人科女医・性科学者
1976年兵庫県神戸市生まれ。2001年大阪大学医学部医学科を卒業。同年医師免許取得、大阪大学産婦人科入局。2007年川崎医科大学講師就任、2009年イギリス・ロンドン大学病院の胎児超音波部門に留学。
2010年には日本国内の病院にて産婦人科医として従事する傍ら、「女医が教える本当に気持ちいいセックス」を上梓。50万部突破の大ヒットとなる。 2012年には第一子となる女児を出産。現在、フジテレビ「とくダネ!」木曜日レギュラーコメンテーターとしても出演中。