京都大学は9月25日、接触皮膚炎反応(かぶれ)を三次元可視化することにより、皮膚における「皮膚関連リンパ網内系組織(SALT)」の存在を検証し、皮膚内に形成されたSALTを撮影することに成功したと発表した。

同成果は、同大学大学院医学研究科の椛島健治 准教授、同 江川形平 研究員らと久留米大学医学部の夏秋洋平 助教らの研究グループによるもので、英国科学誌「Nature Immunology」の電子版に掲載された。

これまで、皮膚以外の末梢臓器(肺・口腔/鼻粘膜・消化管・外生殖器)にはリンパ網内系組織が発見されていたが、皮膚では1980年にSALTという概念が提唱されものの、その存在は確認されていなかった。

そこで同研究グループは、接触皮膚炎反応を三次元可視化することにより、皮膚におけるSALTの存在を検証したところ、二光子顕微鏡という特殊な顕微鏡を用いることで、接触皮膚炎反応において、皮膚内に形成されたSALTを撮影することに成功したという。

さらに、SALTは定常状態では存在せず、免疫応答が起こっている時にのみ誘導されることを発見し、これを「誘導型SALT(iSALT)」と名付けた。「iSALT」は、様々な免疫細胞が血管周囲に集結することで形成され、このiSALTが形成されなければ接触皮膚炎反応が起こらないことから、「iSALT」は少なくとも一部の皮膚炎反応の誘導に必須であることがわかったとのこと。

現在、かぶれ治療の主流はステロイドだが、今回の研究成果によってよりiSALTの形成を阻害する化合物が開発されれば、皮膚炎を制御できる方法の開発につながる可能性があるという。

接触皮膚炎反応における「iSALT」の役割