エン・ジャパンは25日、「時間外労働(残業)」についての調査結果を発表した。調査期間7月7日~8月19日、調査対象は人事担当者382名、インターネットのアンケートによる。

平均残業時間は

「平均残業時間(1カ月)は何時間程度ですか?」という質問に対して一番多かったのは「21~40時間」(46%)という回答。更に「1~20時間」(36%)、「41~60時間」(13%)と続いた。「残業が発生する主な理由」について、1位は「仕事量が多い」(63%)、2位は「取引先からの要望にこたえる(納期など)」(54%)となった。

「平均残業時間(1カ月)は何時間程度ですか?」

また、「"日本型新裁量労働制"(通称"残業代ゼロ法案")についてご存知ですか?」という質問に対しては「知っている」という意見が8割を超えた(「よく知っている(16%)」+「大まかには知っている(67%)」の合計)。一方「"日本型新裁量労働制"の導入について、どのように思われますか?」と尋ねた結果、残業時間状況によって異なる傾向が見られたという。

残業が20時間以内の企業は、賛成が計45%(「賛成」「どちらかと言えば賛成」の計)、反対が計40%(「反対」「どちらかと言えば反対」の計)となり、賛成が反対を上回った。残業が20時間を超える企業の方は、賛成が計34%、反対が計48%となり、反対意見が上回っている。

「"日本型新裁量労働制"の導入について、どのように思われますか?」

■残業時間20時間以内(賛成派)
「時間に管理されず成果をあげる特定のポジションには有益」
「高額年収限定の制限を設けている場合と自分の裁量で仕事ができる職種に絞るなら賛成。すべての労働者に適用されるなら反対」

■残業時間20時間以内(反対派)
・「大企業のための制度で中小企業にはなじまない」

また残業時間20時間以上の企業からは、反対意見として危機感に満ちたコメントが目立った。

■残業時間20時間以上(賛成派)
・「成果もなしに長時間会社にいる人が評価されるという現状に違和感」
・「仕事は時間ではなく、成果で評価されるべき(労務面での残業制限は従業員の健康のため、引き続き行われること前提に)」

■残業時間20時間以上(反対派)
・「現在の日本の風土ではサービス残業が増える」
・「長時間残業による健康不調や過労死などが増える」
・「労働時間に関する規制がなくなった場合、企業は同じコストで最大限の利益を得ようとするのが当然のため、過度な長時間労働につながることになりかねない」
・「結果的に企業、経営側に有利な運用がなされるだけではないか」
・「残業代は払わなくても良いと勘違いする経営者が多いと思う」

残業削減に有効な方法は

「残業の削減に取り組まれていますか?」という質問には、「取り組んでいる」という回答が79%となった。「実施し、効果的だと感じたものを教えてください」との質問に対しては、「業務分担やフローの見直し」(53%)が最多。「管理職への教育(時間管理)」(48%)「残業を事前申請制に」(45%)が続いた。

「実施し、効果的だと感じたものを教えてください」

残業削減に取り組んでいない企業に対して「(残業の削減に)取り組まれていない理由はなんですか?」と尋ねたところ、「事業・仕事の特性上、これ以上の短縮は難しい」が6割となった。「収益拡大のためには、残業はやむを得ない」(27%)、「経営者の理解が得られない」(27%)といった声も上がっている。