さまざまなロボットの企画・デザイン・設計・開発を手掛けてきたフラワー・ロボティクスが、新たなロボット「Patin(パタン)」の開発に着手したことを発表した。2016年の製品化を目指す。

「Patin(パタン)」のプロトタイプ

フランス語で「スケート」を意味するPatin。すでに生活の中にある家電や家具にロボット化したスケート靴を履かせたら、新たな人工物が生まれるのではないか? という発想で開発がスタートした、AI搭載の自走式ロボット・プラットフォームだ。既存の家電や家具などをPatinに乗せ、さらに人の動きに合わせて自分で考える照明や植栽を完成させるという、「既存機能の自律移動化」をコンセプトに開発が進む。

Patinは、3Dカメラなどの各センサーによる空間認識機能を持ち、AIにより自律走行が可能な本体と、機能拡張ができるサービス・ユニットを組み合わせることで、多様な機能を生み出す。

例えば、照明のサービス・ユニットを本体に乗せた場合は、室内にいる人の行動を検知して、人に合わせた最適な明るさや場所を判断し、調光や移動を行う。また、人の行動パターンをデータ化し、充電と通信を行うピットを介してクラウドに蓄積する。蓄積したデータをもとに動作の精密度を高め、一緒に生活する人により合わせた自律行動を取るよう、常に変化していく。

今後は、サードパーティのサービス・ユニット開発参入を想定し、AIロボット開発のプラットフォームとして提供できるよう、サービス・ユニット接続用のインタフェース開発をオープンソースで行う。インタフェースにはAndroidを採用し、サードパーティ向けの開発キット(SDK/シミュレーター)を、2015年の提供を目指し開発中だ。

自律走行する本体(写真左)に、さまざまなプロダクトを乗せるコンセプト

開発キットのリリース後は、家電、機具、インテリアの既存プロダクトメーカーが制御技術を持つ開発会社と協業して、ロボット化を視野にいれた商品開発が可能になる。さらに、開発会社や各プロダクトメーカーとの連携を図り、開発の拡大を促進。PatinがAIロボットのプラットフォームを提供することで、各メーカーは自社の得意分野でサービス・ユニットを開発できるようになる。自律走行部を開発する負担を減らし、ロボット市場参入のハードルを下げ、家庭用ロボットの普及へとつなげていく考えだ。

プロトタイプ段階での主な仕様は、サイズがW330×D340×H193mm、車輪がオムニホイール、モーターがDCモーター、バッテリーがリチウムイオン電池。OSはLinux、メインCPUボードはJetson TK1、制御ボードはArdio boardとなっている。カメラとセンサー類は、深度カメラ、熱画像カメラ、単眼カメラ、落下防止センサー、障害物検出用センサー、接触センサー。外装素材はガラス入りナイロン、その他にWi-Fi、USBを搭載している。