シャープは9月18日、アカデミア主導型臨床研究として同社の委託を受けた東京大学医学部附属病院臨床研究支援センターの研究により、プラズマクラスター技術を用いると、小児アトピー型の軽症および中症の喘息患者(FeNO値が90以下対象)の気道炎症レベルが低減するという結果を得たと発表した。

同研究は、シャープが東京大学医学部附属病院臨床研究支援センターに委託し、臨床研究専用イオン発生装置を提供。中央大学理工学部教授で東京大学名誉教授の大橋靖雄氏が臨床研究のデザインとデータ解析を担当し、東京慈恵会医科大学附属第三病院小児科診療部長の勝沼俊雄氏が試験実施施設のまとめ役を務め、被験者のリクルート・検査測定を行ったとのことで、詳細な内容は、2014年11月8日より開催される「第51回日本小児アレルギー学会」にて発表される予定だという。

今回の研究は、6歳以上15歳以下の小児アトピー型の軽症および中症の喘息患者130人を対象とし、自宅の寝室、居間、子供部屋の内、被験者の滞在時間が長い2つの部屋にイオン濃度約10万個/cm3の臨床研究専用イオン発生装置を設置、個人ランダム化クロスオーバー二重盲検比較法にて前期後期各8週間の観察を行ったもの。

評価項目は「FeNO値の変化量」、「喘息症状の変化」、「呼吸機能値の変化量」、「QOL(Quality of Life)」で、プラセボ機を用いた群と比較し、FeNO値が下降(改善)していることが確認されたほか、肺の末梢気道の狭窄を表す1つの指標であるV25の上昇(改善)も確認され、その結果、実際の生活の質を示すQOL調査得点も試験開始前よりも試験終了後では減少(改善)していることが確認されたという。

なお、同社では、今後も健康的な環境を創出するために、プラズマクラスター技術のさらなる進化とその効果の実証を進めていく方針としている。

プラズマクラスター技術によるアレルゲン分解のメカニズム。プラズマクラスターイオンが浮遊アレルゲンを取り囲み、OHラジカルに変化。アレルゲンのIgE抗体結合部位を分解することで、アレルゲンが抗体と結合しないようにしていると考えられている