日本気象協会が運営する天気予報専門サイト「tenki.jp」はこのほど、上空から氷の粒が降る「雹(ひょう)」が起こる仕組みや、実際に遭遇した場合の対処方法について解説した。

左:氷の粒「ひょう」(撮影/ハレックス) 右:気象予報士の吉田直人さん

東京都三鷹市付近で、6月24日に雹(ひょう)が降ったことは記憶に新しい。数十センチ積もったところもあり、排水溝がひょうで詰まるなどの影響で、交通の乱れや住宅の浸水などの被害が報告された。ひょうは上空から降る直径5mm以上の氷の粒のことを指すが、寒い時期ではなくなぜ暑い夏に降るのかを、気象予報士の吉田直人さんが解説した。

「"ひょう"は、大気の状態が不安定なときに降ることがあります。不安定になると、上空で氷の粒が積乱雲の中の強い対流により上昇・下降を繰り返し、他の氷の粒とぶつかりながら大きく成長します。通常ならそこまで大きくならず、地上に降るまでにとけて"雨"となりますが、さまざまな条件がそろって氷の粒が大きく成長すると、地上に落ちるまでにとけきらず"ひょう"となるのです」(吉田さん)

ひょうは、時にはゴルフボールくらいの大きさや、それ以上の大きさになることもあるという。硬い氷の粒であるひょうがぶつかることにより、さまざまな物理的な事故や被害も引き起こされる。また、農作物の上に積もると、低温による育成不良や病害などの被害を受けることもある。

数々の被害をもたらすひょうだが、事前に降ることは予測できないのだろうか。吉田さんは「ひょうがいつどこで降るかを事前に予測することは難しいです。しかし、ひょうを降らす雲が近づいてくるときは、空が急に暗くなる、雷の音が聞こえる、冷たい風が吹いてくる、などの予兆が現れることがあります」と話した。

ひょうが降りそうな状況になったときや、実際にひょうが降り始めたときは、すぐに安全な屋内の、窓ガラスから離れたところに避難することが重要であるという。

「日々の気象情報に注意し、"大気の状態が不安定"などという予報がある場合は、突然のひょうなど天候の急変に注意するようにしてください」(吉田さん)