アルプス電気は9月16日、車載用高速データ通信に対応するLTEモジュール「UMDZ」シリーズを2015年度に製品化すると発表した。

昨今、ナビゲーションに必要となる目的地や道路情報の入手、地図更新などの利用を目的とした車室外環境と自動車の高速データ通信が注目されている。また、観光地情報や各種オンラインサービス、インターネットを介したクラウド型の情報提供やビッグデータの活用、eCall(車両緊急通報システム)への活用など、その用途も徐々に広がりを見せており、今後、より快適にそのサービスを利用するため、大容量かつ高速でデータ通信を可能にするLTEに対応した通信モジュールの自動車、車載機器への搭載が期待されている。

ただし、LTEの運用にあたっては、各国電波法への適合に加えて、電気通信事業者(キャリア)ごとに、基地局との安定した接続を保証するための相互接続試験(キャリアIOT)の認証取得も必要になる。さらに、これらの認証取得に対応する評価に加え、振動や温度など民生機器に比べ、厳しい環境での信頼性が求められるため、多くの技術課題をクリアする必要がある。

今回の「UMDZ」シリーズは、これまで培ってきた高周波技術や評価技術を生かし製品構造を最適化することで、28.9mm×29.8mm×4.22mmサイズと車載用としては世界最小クラスでの製品化を計画しているという。さらに、LTE/3G/2Gの3モード対応に加え、欧州、北米、中国、日本などの各地域へのワールドワイド対応を行う予定としている。

開発においては、電波法やキャリアIOTの認証取得対応に向けて、車載用Bluetoothモジュールをはじめとした、各種通信モジュールで培った評価技術やシミュレーション技術などの要素技術に加え、同社の古川工場(宮城県大崎市)にEMC評価センターが所有する、日本有数のリバブレーションチャンバを駆使している。これにより、LTE/3G/2Gの各通信方式や各地域の通信環境に合わせてモジュールレベルで性能を最適化して認証を取得できるため、車載機器メーカーでの開発・評価負荷を軽減できるという。加えて、アンテナ設計技術やシミュレーション技術を生かし、最適なアンテナを開発。アンテナも含めた提案や、高い市場実績を誇るWi-Fi/BluetoothモジュールやGNSSモジュールなどと組み合わせた提案も可能であるため、搭載機器メーカーのさまざまなニーズに対応できるとしている。

なお、サンプル出荷開始を2014年度下期、量産開始を2015年下期に予定している。また、開発は技術本部 古川工場、生産は生産本部 角田工場(宮城県角田市)が担当する。

車載用高速データ通信に対応するLTEモジュール「UMDZ」シリーズ