築地市場といえば「東京の台所」とも呼ばれ、都内で11カ所ある中央卸売市場の中で最も古い歴史を持ち、その取引規模は世界でも最大級の総合卸売市場だ。およそ数百種類の水産物や青果物の取り扱いがあり、業者はもちろん観光地としても多くの人が訪れるスポットとなっている。

そんな築地市場でも特に人気が高く、提供する店も多いのが新鮮な魚介類をふんだんに用いた海鮮丼である。市場を歩けばすぐに写真つきの看板やメニューを掲げたお店を多数見つけることができるだろう。

刺身BAR河岸頭の「築地場外丼」(3000円、税込)

今回はそんな海鮮丼の中でも「二段重ねの丼」という特徴を持ち、圧倒的なインパクトと存在感で知られる「刺身BAR河岸頭」の人気メニュー「築地場外丼」を食べに足を運んできた。これまでも多くのテレビ番組や雑誌などで取り上げられていて、見たことがあるという方もいるのではないだろうか。

これがその築地場外丼だ。先程も述べた通り海鮮丼を提供する店は築地に数多くあるものの、二段盛りというボリュームで提供する店はおそらくこの店だけなのでは。3000円と決して気軽に味わえる値段ではないが、旬の新鮮な魚介がたっぷりとのせられ、お腹いっぱいに味わえることを考えれば一度は食べてみたくなるメニュー。実際、多い時には1日に20食以上注文が入ることもあるという。

二段盛りの構成は、上の丼にはおよそ10種類もの魚介が用いられた海鮮丼。そして下の丼はこちらもたっぷりと具材が用いられている海鮮チラシとなっている。まずは上の丼から詳細を見ていこう。

ウニやイクラ、中トロといった具材が手前に

中央のボタンエビも存在感があって目立っている

上の丼を別の角度から

季節やその日の仕入れによって用いられるネタの種類は異なるそうだが、この日の海鮮丼にのっていたのはボタンエビ、サゴシ(サワラの幼魚)、キンメダイのたたき、アジ、アマダイ、アオヤギ、ホンマグロの中トロ、新イカ、ウニ、イクラというラインナップ。ちなみにイクラは生スジコをほぐしたものだ。

上の丼を外すと下はチラシになっている

チラシにはカニやイクラ、トビッコ、シラスなどの具材が

中央の小皿にはジュレの上にエビとホタテがのせられている

下段のチラシもとにかく具だくさん。カニ、イクラ、トビッコ、シラス、アナゴ、煮アワビといった海鮮類に加え、タマゴとキュウリが用いられていた。真ん中の小皿にはゼリー状のジュレの上にのせられたエビとホタテが入っている。ちなみに上下の丼はともに酢飯ではなく通常の米飯を用いているのが特徴で、このジュレを好みで混ぜ込むことで酢飯にアレンジして食べることもできる。

脂たっぷりの中トロをはじめ、どのネタも新鮮だ

さっそく食べ始めてみた。これだけボリュームがあるとどれから食べようか箸も迷ってしまう。見た目通り食べ応えがあるものの、いろいろなネタが用いられているため、食べ飽きることもなく箸が進んでいく。

これだけボリュームのある海鮮丼を食べるのは、もちろん記者も今回が初めて。見た目のインパクトに圧倒されて全部食べ切れるのか少々不安だったが、結局およそ20分で完食してしまった。自信のある大食漢でなければ食べ切れないというほどのボリュームではなく、お腹を空かせて来店すれば程良い満腹感が味わえるのでは。なお、下段の丼の中央にあるジュレはチラシに入れすぎると水っぽくなってしまうので、味を見ながら少しずつ入れてみるのがおすすめだ。

お店は階段を下りていった地下にある

店舗の外観

刺身BAR河岸頭は、場内のマグロ競り場や仲買で勤めた経験もある店主さんが2008年にオープンしたお店。築地場外市場のビルの地下にあり、どちらかというと隠れ家的な存在だが、口コミなどで遠くからも大勢の客や女性グループなどがやってくるという。

この「築地場外丼」はランチ限定のメニューで、店主さんが「いろんな魚をお腹いっぱい、他の店にはないボリューム感で味わってもらえれば」と4年ほど前から提供を始めたそう。ランチではほかにも「うにとろユッケ丼」や「壺イクラ丼」などのメニューを提供しており、入荷があるときの「生シラス丼」も人気が高い。夜はコース制で、お造りや焼き物、揚げ物など約10品のメニューを提供し、お酒に合わせた魚料理を楽しめるというコンセプトで営業しているとのこと。

店内にはカウンター席と4人掛けのテーブル席がある

店舗の場所は、東京都中央区築地4-12-2 ライオンズマンション東銀座地下1階。最寄駅は東京メトロ日比谷線の築地駅または都営地下鉄大江戸線の築地市場駅で、築地四丁目の交差点から晴海通りを晴海方面へ向かって右側のビルの地下。営業時間はランチ11時~14時、ディナー18時~23時。日曜定休。