"我が家"のお金について考える機会を設けよう

お盆の帰省でご両家にあいさつ、そして結婚へ! というカップルも少なくないのでは? 結婚式の準備でいろいろと大変ではあるが、新しく家庭を築くための準備も欠かせない。「家賃や光熱費などの支払いは?」「どうやって貯金する?」などと、お金の悩みもあるだろう。そこで、結婚を機に考えておきたいお金のことをファイナンシャルプランナーの鉢須祐子さんにうかがった。

いざとなれば何とかなる!

鉢須さんは、ファイナンシャルプランナーとして、「私の年収で結婚できるでしょうか?」といった質問を受けることも多いと言う。そんな時は、「お金のことだけでやみくもに不安がって、結婚を先のばしにするのはナンセンス。いざとなれば、何とかなるものですよ!」と、カップルの背中を押すことが多いそうだ。

"お財布は共有"が鉄則

家計管理で失敗しないために、鉢須さんが提唱しているのは"お財布を共有すること"。

「何のルールもなく家庭生活をスタートしてしまうと、お互いがお互いのお金をアテにしずぎてしまう可能性があります。そうならないために、まずひとつ、"家計の口座"を作ってください。その口座から、家賃、生活費、貯蓄、保険代などを支払うという仕組みを作ります」。

一元管理をすることで、"我が家"としてどれくらいの額の出費があり、貯蓄があるのか? といったことが一目瞭然で分かるようになる。

家計簿無料アプリの活用も手

"お財布は共有"だからといって、妻が(夫が)何もかもひとりで背負うという訳ではない。「家賃や貯蓄など大きな出費は夫が管理し、日々の細かい出費は妻、というふうに、それぞれの担当を決めるのも良いでしょうね」と鉢須さんは提案している。

そんな時、スマートフォンのアプリを使うのも便利だ。「例えば、Zaim(ザイム)というアプリでは、夫婦でひとつのアカウントで記録することができます。マネーフォワードもログインIDを2人で設定して、メールアドレスとパスワードを決めて2人で管理できるタイプのソフトです」(鉢須さん)。

貯蓄口座は2つ持つ

出費の管理方法のみならず、貯蓄方法も気になるところ。そこで鉢須さんは、貯蓄用に口座を2つ設けることを提案している。ひとつは長期貯金のための口座、もうひとつは予備費用の貯蓄口座である。

長期貯金の口座とは、家の頭金や子どもの教育資金といった、大きな額を長い時間をかけて貯めていく口座だ。おそらく、一般的に"貯蓄口座"としてイメージされている口座は、この口座に当たるだろう。

予備費の口座とは、「コートを買った」「家電品が壊れた」といった、日常の臨時出費に備える貯蓄だ。こういう性質の口座をひとつ持っておくことで、家計口座で足りなくなった分を、ダイレクトに貯蓄口座が引き出す必要がなくなる。いわば、"家計のクッション役"を担う口座だ。

「貯蓄がなかなかできない人は、思い切って長期貯蓄の方はキャッシュカードを作らないのもひとつの方法です。お金を降ろすのに手間がかかるので、必然的にお金が貯まりますよ」(鉢須さん)。

結婚となると、いろいろと構えてしまうのは当たり前。でも、そんな中にも"遊び心"や"楽しみ"を見いだすことも大切なポイントである。今回紹介したものは、どれもハードルが高いものではないので、「ちょっと試してみない?」などとパートナーに相談してみてはいかがだろうか。

※本文と写真は関係ありません

プロフィール: 鉢須 祐子(はちす ゆうこ)

アラサーのフリーランス。「自分らしい働き方がしたい」と思い、2級FP技能士の資格を取得し、FPとライターのパラレルキャリアを実践中。国内大手証券会社・銀行の営業職を経験後、2009年に独立。日本では数少ない独立系の若手女性FPとして、執筆活動や講演会を通じてマネー情報を発信中。セミナーDVD「お金を貯めるライフプラン」「ゼロから学べる借入トラブル」(ファイナンシャルアカデミー)ほか、雑誌やWebメディアなどの掲載・出演実績多数。「オフィシャルサイト」にて日々、情報を発信している。

筆者プロフィール : 楢戸 ひかる(ならと ひかる)

1969年生まれ 大手商社勤務を経てフリーライターへ。中学生と小学生の男児3人を育てる主婦でもある。生活に役立つ情報を「主婦er」にて更新中。