錦織圭選手は、悲願の4大大会優勝まであと1勝だ

テニスの全米オープンに出場している錦織圭選手は9月9日、マリン・チリッチ選手(クロアチア)と日本人初となるグランドスラムでの決勝戦を行う。日本テニス界にとって歴史的瞬間とも言える一戦を前に、両者の特徴と見どころをまとめた。

錦織圭

いわゆるオールラウンダーの錦織選手の持ち味の一つは「リターン力」にあるといっていいだろう。世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)を3-1で破った準決勝でもリターンエースを随所に見せており、ラリーの応酬から「攻め時」に積極的に攻めに転じることができるのも、粘り強いストロークがあってこそだ。

バックハンドショットの精度にも定評がある。ジョコビッチ選手との試合における錦織選手の決定打の数は「37」。その内訳はフォアとバックでそれぞれ13本ずつだった。一方でジョコビッチ選手は、38本の決定打のうちフォアが13本でバックが6本。1試合の数字だけで判断するのは早計かもしれないが、錦織選手がバックからでもポイントを効果的に奪えることは、ジョコビッチ選手との一戦が証明している。

また、かつての師である松岡修造さんをして「歴代の選手の中でもっともメンタルが強い」と言わしめたマイケル・チャンコーチに今季から師事することによって、メンタル面の強化も図っている。

マリン・チリッチ

198cmの長身から、時速210キロを超えるサーブを武器にして戦うビッグサーバーのチリッチ選手。世界ランクは16位と11位の錦織選手よりも下で、直接対決でも2勝5敗と負け越しているが、準決勝では世界ランク3位のロジャー・フェデラー選手(スイス)相手にストレート勝ち。サービスエースを13本も奪い、主導権を相手に握らせないまま完勝し、錦織選手同様、勢いに乗っているといっていいだろう。

試合は、高速サーブと強打で押してくるチリッチ選手に対して、いかに錦織選手が粘り強いストローク合戦に持っていけるかがポイントになると見られる。松岡さんが話すように、「テニスの引き出し」が多い錦織選手は、ラリーの応酬になれば勝機を見いだせそうだ。

そういった意味でも、チリッチ選手のファーストサーブがどれだけ決まってくるかが、勝負の大きな分かれ目となることが予想される。フェデラー戦時のチリッチ選手は、ファーストサーブが決まると9割近くポイントを奪っている。200キロ近い高速サーブを自在に操られてしまうと、いかにリターンがうまい錦織選手といえども苦戦は必至だ。

錦織選手はアジア男子として初となるグランドスラム決勝進出によって、9日発表予定の最新の世界ランクで自己ベストを1位上回る8位になることが確定している。全米オープンで優勝すれば5位へとジャンプアップし、一気に世界のトップ5の仲間入りを果たすことになる。

かつての師である松岡さんを含め、日本テニス界の先人たちが夢見ながら、誰も立つことができなかったグランドスラムのシングルス決勝コート。日本が誇る24歳の若きサムライが、日本中のテニスファンの期待を背負ってそのひのき舞台に立つのは、9月9日の午前6時だ。

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