ルイ・ヴィトンは、東京都・新宿の「ルイ・ヴィトン新宿店」において、2014-15年秋冬コレクションのエキシビション「SERIES 1 - THAT WAS THEN, THIS IS NOW」を開催する。開催期間は9月8日~28日。ここでは、5日に行われたプレス内覧会の様子をレポートする。

「SERIES 1 - THAT WAS THEN, THIS IS NOW」のエントランスサイン

ルイ・ヴィトン新宿店全体がニコラのプレゼンテーション空間に

「SERIES 1」は、ルイ・ヴィトンの新しいアーティスティック・ディレクター、ニコラ・ジェスキエールによる初のコレクションである「2014-15年秋冬コレクション」のスタートに合わせて、同氏のクリエイティブプロセスを振り返る内容。ルイ・ヴィトン新宿店の店舗全体が同コレクションとニコラのプレゼンテーション空間となり、デジタルサイネージや3Dプリンタなどを駆使した演出が施されている。

円の中に「LV」のイニシャルを配したお馴染みのロゴをネオン管で表現。ミラーを配置し、斜め方向から見るとどこまでも続いているように見える

おなじみの「LV」のロゴが光のオブジェに

エントランスを入って最初に目に留まるのが、暗闇の中で光り輝くルイ・ヴィトンのロゴだ。円の中に「LV」のイニシャルを配したこのマークは、同1854年にブランドを創業したルイ・ヴィトン家の標章として誕生し、1908年に創業者の孫であるガストン - ルイ・ヴィトンによって正式に商標登録されたという。

ニコラは、同ブランドのアーティスティック・ディレクターとして就任して以来、昔のトランクに刻印されていたこのロゴに魅了され、インスピレーションのひとつの源になっているという。そこで今回、同ブランドのアーカイブからこの部屋の中に「光のオブジェ」として復活させた。このロゴは暗闇の中にネオン管が絶妙なバランスで配されており、正面に立つとLVのロゴが宙に浮かんでいるように見えるほか、斜め方向から見るとロゴがどこまでも続くかのような演出が施されている。実際に部屋の奥行きがあるわけではなく、鏡をうまく使って奥行きがあるように見せているということだ。

なお、この場所では、イギリス出身でフランスで活躍する女優兼シンガーであり、ニコラの友人であるシャルロット・ゲンズブールの声による手紙の朗読が、英語とフランス語で繰り返し流れている。この手紙は、今年3月5日にニコラが初のウィメンズ・コレクションを発表した際に同氏宛に書かれたもので、同氏へ向けた祝辞や同ブランドのデザイナーを退任したマーク・ジェイコブスへの敬意、その場を共有する人々への感謝の意などが込められている。

「MAGIC TRUNK」では、蓋の開いた巨大なトランクが出現。背後では、デジタルサイネージであふれ出るインスピレーションを表現している

トランク本体と蓋の間には、背景の映像に関連するさまざまなアイテムがホログラフィーとして映し出される。裸眼で見ても手に取れるかのようだ

巨大なトランクとデジタルサイネージが印象的な「MAGIC TRUNK」

続いて、同じ1階にある「MAGIC TRUNK(マジックトランク)」という部屋に入ると、中央に幅140cm×高さ81cmほどの巨大なトランクと、そのふたが空中に浮かんでいるかような状態で設置されている。背後の壁面に装備されたデジタルサイネージには美しい映像が映し出され、さらにトランクの本体とふたの空間には、背景の映像とシンクロする商品や裁ちばさみ、マネキン、ロゴなどが、まるで手に取れるかのようにホログラフィーで映し出される。

これらの映像は、ニコラがコレクションを立ち上げた際に今後新たなルイ・ヴィトンの歴史を刻むべく、トランクの中に込めた「8つの思い」がもとになっているという。このトランクから数々のイメージがあふれだし、イマジネーションがかきたてられるという同氏の思いが表現されているのだ。

1階と2階をつなぐ鮮やかな赤い階段は、まるで異次元空間への入り口のようだ

実在モデルを3Dプリンタで出力した白いマネキンがたたずむ「ACCESSORIES GALLERY」

暗闇の中で真っ赤に輝く階段で2階へ上がると、そこは黒を基調とした1階とはうってかわり、「白」をキーカラーとした明るい空間が待っている。「ACCESSORIES GALLERY(アクセサリーズギャラリー)」には、壁面や床、マネキンに至るまですべてが純白で、マネキンが身につけたカバンや靴などのアクセサリーがひときわ目立つようになっている。ちなみにマネキンは、実在のモデルをスキャンし、3Dプリンタで出力した造形物だという。

壁や床、柱、マネキンなどを白に統一した「ACCESSORIES GALLERY」

マネキンは実在するモデルをもとに3Dプリンタで出力したものだ

マネキンが身につけているアイテムは今回のコレクションで発表されたものだが、ニコラがアクセサリーをデザインする際のインスピレーションのひとつの源となったという同ブランドのアーカイブ「ピモダム伯爵のキャビン・トランク(1895年製)」や「ミセス・J・コーツの婦人用トランク(1893年)」なども、透明ケースに格納されて展示されている。

「ピモダム伯爵のキャビン・トランク」(左)や「ミセス・J・コーツの婦人用トランク」(右)など、ルイ・ヴィトンの貴重な品々も展示されている

「POSTER ROOM」のフロアに積み上げられているポスターは持ち帰り可能(左)。壁を覆う写真は3名の著名フォトグラファーの作品(右)

著名な3人のフォトグラファーによる写真が壁全体を覆う「POSTER ROOM」

ACCESSORIES GALLERYから奥に進むと、壁全体がパッチワークのように写真で覆われた「POSTER ROOM(ポスタールーム)」がある。この部屋は"ファッション好きな女の子の部屋"がコンセプトとなっており、壁に貼られている写真は、アニー・リボヴィッツ、ユルゲン・テラー、ブルース・ウェーバーという3名の名高い写真家によって、新コレクションの広告キャンペーン用に撮影されたものだ。なお、フロアに積みあげられているのは、パトリック・デマルシェリエとユルゲン・テラーによる6種類のファッションストーリー・ポスターで、自由に持ち帰ることが可能だという。

今回のエキシビションで唯一の販売スペースとなる「THE COLLECTION」では、2014-15年秋冬コレクションの全アイテムを購入できる

唯一のリテールスペース「THE COLLECTION」

最後に紹介するのは、POSTER ROOMとは反対方向に位置し、2階フロアの約半分を占める「THE COLLECTION(ザ・コレクション)」。このスペースは、今回のエキシビションで唯一の販売スペースだ。ACCESSORIES GALLERYのマネキンが身につけていたアクセサリーや洋服、靴など、2014-15年秋冬コレクションのすべてのアイテムをここで購入することができる。同スペースには緩やかにS字状にカーブするソファーも用意されているので、ニコラのクリエイティブの世界を堪能したのち、気に入った商品をゆっくり買い物することが可能となっている。

「SERIES 1 - THAT WAS THEN, THIS IS NOW」の舞台となる、ルイ・ヴィトン新宿店の外観