直木賞作家・辻村深月氏が、5日発売の雑誌『ダ・ヴィンチ』(KADOKAWA)でレミオロメンの藤巻亮太と対談した。その中で辻村氏は、自身の小説『太陽の坐る場所』の執筆秘話を明かしている。

映画『太陽の坐る場所』で共演した水川あさみ(左)と木村文乃

『太陽の坐る場所』は、辻村氏が2008年に小説誌『別冊文藝春秋』(文藝春秋)で連載した作品で、10年ぶりの高校の同窓会を機に、青春の思い出に隠された女たちの秘密が暴かれる物語。『三月のライオン』(1992年)などで知られる矢崎仁司監督の手により映画化され、ある日を境に立場が逆転する「響子」を水川あさみ、「今日子」を木村文乃が熱演する。藤巻は辻村氏と同じ山梨県出身で、主題歌「アメンボ」を本作のために書き下ろした。

辻村氏は対談の中で「"なんで私はこんなに怒っていたんだろう"って、当時の自分の怒りに引いたんですよ。でもこの映画を観て、その気持ちからようやく自由になれたような気がしました」と告白。「当時は10代の子たちを多く書いていたんですけど、大人になると、みんながその時の事を"あれはあれとして忘れて"というふうになっていることに私は怒っていたんだ、ということがはっきりしてきたんです」と当時を思い起こし、「この映画を観た時、そんな自分の怒りやもどかしさを昇華できた気がした」と語っている。

映画『太陽の坐る場所』は9月27日から山梨で先行公開をスタートし、10月4日から全国公開される。

(C)2014 『太陽の坐る場所』 製作委員会