生理学研究所(NIPS)は9月2日、これまで不明であった、脳がどのようにして光沢を評価しているのかという仕組みを明らかにしたと発表した。

同成果は、NIPSの小松英彦教授および西尾亜希子研究員、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の下川丈明研究員らによるもの。詳細は「Journal of Neuroscience」に掲載された。

今回の研究では、光沢が2つの指標(ハイライトのコントラストと鋭さ)によって知覚されているという心理実験の結果に注目し、それらの指標を変化させた画像を作成し、その画像を見ているサルの下側頭皮質の神経細胞の活動を調査。その結果、脳の神経細胞がハイライトのコントラストや、鋭さ、および物体の明るさを指標としていることが分かったほか、記録した神経細胞の活動を用いることで、それらの指標を再現できることも確認されたという。

今回の結果を受けて、研究グループは、ハイライトのコントラスト、鋭さ、物体の明るさといった、比較的簡単な画像の指標を用いて光沢を効率よく評価していることが分かったことから、このような経アんを人工的な画像認識システムに応用することで、ヒトと同じように光沢を認識可能な機械を開発することが可能になると考えられる、と説明しちえるほか、脳がさまざまな質感を認知するメカニズムの全容を解明するための重要な足がかりとなるとの考えも示している。

ニホンザルの高次視覚野である下側頭皮質の個々の神経細胞の働きを、極細電極を用いて調べたという

実際に、脳内でどのように光沢の情報が処理されているかを調べるため、ハイライトのコントラスト(c)と鋭さ(d)をそれぞれ4段階変化させ、明るさ(pd) も3段階変化させた刺激を作成して、それぞれの刺激に対する神経細胞の応答を調べたという