エンバカデロ・テクノロジーズは9月2日、PCやタブレット、スマートフォン向けネイティブアプリケーションを構築するマルチデバイス対応の開発環境「RAD Studio」の最新バージョンとなる「RAD Studio XE7」の提供を開始した。

RAD Studio XE7での主な機能

RAD Studio XE7では、新たに、デスクトップアプリケーションとモバイルアプリケーションのUI設計を共存・並立する機能や、既存のWindowsアプリケーションやモバイルデバイスと、ガジェットやウェアラブルデバイスが連携できる機能などを追加した。

エンバカデロ・テクノロジーズ 日本法人代表 藤井等氏

同社日本法人代表の藤井等氏は、「多くの企業がモバイルアプリの導入を検討しているが、従来のWindowsアプリケーションから全て移行するわけではないため、双方の開発・継続を平行して実施したいほか、モバイルアプリと企業のバックエンドの連携やIoT普及への対応などがニーズとしてあり、今回のアップデートに至った」と説明した。

今回の追加された主な新機能は、「FireUIマルチデバイスデザイナ」や「EMS(Enterprise Mobility Services)」「Wi-Fi / Bluetoothサポート」「パラレルコンピューティングライブラリ」となる。

「FireUIマルチデバイスデザイナ」は、複数デバイス向けUI設計・共有のための機能で、画面サイズの異なるデバイスに対応したカスタマイズが可能。開発者は、マスターフォームを用いて共通の画面設計とロジックを作成し、デバイスごとのカスタマイズをサブフォームで実行することができる。これにより、単一のデザイナ画面での効率的な管理と、多様なデバイスに対応する画面設計の簡略化を実現する。

FireUIマルチデバイスデザイナ機能の説明

「EMS」は、データアクセスモジュールやカスタムAPIをホストできるミドルウェアサーバー機能で、多様なクライアントからのアクセスに対応。主要なSQLデータベースへアクセスも可能で、ユーザー管理機能や認証機能、分析機能も搭載する。

EMS機能の説明

「Wi-Fi / Bluetoothサポート」では、一部のコンポーネントを配置することで、既存のWindowsアプリケーションをモバイルデバイスと連携させることが可能。アップテザリングでは、アプリ間の情報交換やリモートアクションを実行するコンポーネントを提供する。新バージョンでは、Bluetoothのサポートが追加され、ウェアラブルデバイスや各種ガジェットとの通信へ活用することもできるという。

Wi-Fi / Bluetoothサポート機能の説明

「パラレルコンピューティングライブラリ」機能では、マルチコアCPUの能力を活かし、マルチスレッドアプリの記述を効率的に実施。セルフチューニングスレッドプールを用いたコードの実行により、アプリケーションパフォーマンスの改善が期待できる。

パラレルコンピューティングライブラリ機能の説明

同製品の利用には、Windows 8/8.1(32-bit/64-bit)やWindows 7 SP1(32-bit/64-bit)、Windows Server 2008/2012(32-bit/64-bit)といった環境か、Windows 7/8をホストするVMware FusionやParallelsといったVM(仮想マシン)を用いることによるMac OS X環境が必要となる。

また、開発したアプリケーションは、Windows 7か8、8.1が動作するIntel/AMDプロセッサのPCとタブレット、OS X 10.8か10.9が動作するMacマシン、iOS 7が動作するiPhone・iPad・iPod touch、Androidフォンタブレット、Android Gingerbread(2.3.3-2.3.7)、Ice Cream Sandwich(4.0.3と4.0.4)、Jelly Bean(4.1.xや4.2.x、4.3.x)、KitKat(4.4.x)が動作するNEONサポートのARMv7デバイスで実行できる。

RAD Studio XE7の製品ラインナップは、「Professional」と「Enterprise」「Ultimate」「Architect」の4つで、同製品に含まれるDelphi XE7とC++Builder XE7は、単体製品としての購入も可能だ。

価格は、RAD Studio XE7 Professionalが18万8000円(税別)、Enterpriseが31万円(税別)となるほか、既に、各シリーズのXE6を購入している場合は、新規購入額より安価でバージョンアップすることができる「リチャージプログラム」の利用が可能。RAD Studio XE7 Professionalでは11万2000円(税別)で、Enterpriseでは20万6000円(税別)となる。

また、9月30日までの期間限定で、通常価格より10%OFFとなる「XE7発売記念キャンペーン」や、同製品のすべての機能を、30日間無料で試すことができるトライアル版の提供も開始している。

RAD Studio XE7の製品ラインナップ

なお、同社は、モバイルアプリ開発環境「Appmethod」と同製品の違いを、「製品のコンセプトや開発プロジェクトの期間にある」と説明。Appmethodは、モバイルファーストで短期の開発プロジェクトを対象とする一方、RAD Studioはデスクトップファーストで中・長期の開発プロジェクトを対象とするという。

AppmethodとRAD Studioの違い