ポロシャツで知られる米国のファッションブランドRalph Laurenがハイテク分野に本格進出する。8月末にニューヨーク郊外で開幕した全米オープンの公式ユニフォームを手がける同社は会期中、センサーを織り込んだハイテクスポーツウェア「Ralph Lauren Polo Tech」を発表した。そのコンセプトを「バイオメトリクス技術を活動的なライフスタイルアパレルに融合した」と説明している。

「Ralph Lauren Polo Tech」

Polo Techは同社のウェアラブル技術進出を記念する最初の製品となる。お馴染みのポロのロゴが黒字のTシャツに黄色にくっきり生えたデザインで、一目でRalph Laurenのものだとわかる。

織り込まれた繊維は、カナダのウェアラブル技術企業のOMsignalと提携し、OMsignalの独自技術および神経科学、スポーツ医学、工学の知識とノウハウを取り込んだものだ。OMsignalは「バイオメトリクス・スマートウェア」として、自社ブランドでバイオセンサー圧縮素材を用いたシャツを作成している。

現在、事前予約の段階で、最もベーシックなもので240ドル。専用のデータモジュールとアプリを利用してフィットネスや健康に関するデータの収集や分析が可能だ。

Polo TechもOMsignalのバイオセンサー圧縮技術を利用しており、「シャツがそのままセンサーになる」という。体の動きからさまざまなデータを収集してスマートフォンのアプリで確認できる。

具体的には、シャツが収集したデータはブラックボックスに格納され、ブラックボックスの中にあるジャイロスコープや加速度センサーを利用して、体の動きや向きをとらえる。このブラックボックスはクラウドと接続されており、そこにデータをプッシュするとクラウド上にあるさまざまなアルゴリズムを使って心拍数や呼吸、ストレスレベルやエネルギーアウトプットなどの心理測定などパフォーマンス主導でバイオメトリクスデータを割り出すという。

「Ralph Lauren Polo Tech」のスマートフォンアプリの画面

スポーツウェアではあるが、スポーツやフィットネスだけでなく、日常生活でも着用できるデザインも特徴だ。Ralph Laurenで広告・マーケティング・コミュニケーション担当シニアバイスプレジデントを務めるDavid Lauren氏は、「(Polo Techは)スポーツの範囲を広げ、あらゆる年齢の人を、生活のさまざまな面で支援するものにするというビジョンを掲げている。Polo Techはアスリートにとどまらず、年齢やライフスタイルを超えた人に革新的な技術を提供し、健康と生活の質の改善を支援するだろう」とコメントしている。

Polo Techは全米オープンでのボールボーイが一部の試合で着用しているほか、グランドスラム初参戦となる全米大学テニス協会(ITA)シングルランキング1位のMarcos Giron選手が練習用ウェアとして採用する。Polo Techの一般発売や価格については明らかにされていない。

練習用ウェアとして「Ralph Lauren Polo Tech」を着用するMarcos Giron選手

Ralph Laurenは今後、ウェアラブル技術をはじめとしたハイテク分野に積極的に開拓していく戦略だ。