世界の人たちはどのような働き方をしているのでしょうか? 今回は、ベトナム・ホーチミンで、路上散髪屋として働くグエン・タン(Nguyen Thanh)さん(37歳)に話を伺いました。 ■これまでのキャリア変遷を教えてください。

グエン・タン(Nguyen Thanh)さん/ベトナム・ホーチミン市/37歳/理容師(自営業)

高校を卒業後、家業で農業をしていましたが、25歳の時に故郷の中部クアンガイ省からホーチミン市にやってきました。「手に職を」と思い、理容室で約4カ月、働きながら技術を習得しました。(※ベトナムは理容師のための専門学校や資格制度がないので、技術を覚えればすぐに仕事ができる) その後、フリーランスの理容師としてさまざまなお店で働きながら、26歳で独立しました。

■現在のお給料は以前のお給料と比べてどうですか?

仕事の内容はカット、シェービング、カラー、耳掃除などがあり、それぞれに料金が決まっています。最も多いのはカットとシェービングのセットで料金は3万ベトナムドン(約147円)。1日10人程の客数で、日給は30万ドン(約1,470円)程度。チップを頂く場合もあります。体ひとつで、無店舗で路上だけで切り盛りしているので、休めば収入がなくなりますし、雨が降っても客足が遠のきます。それでも自営ですし、妻も小さなカフェを開いているので、2人合わせれば、生活自体はなんとか成り立っています。

■今の仕事で気に入っているところ、満足を感じる瞬間は?

理容師という仕事が好きなので、その仕事を続けられているのがやっぱり1番うれしいところです。自分の技量やサービス次第で、お客さんの満足度も違うし、それがチップとなって返ってきます。客層はほぼ100%男性ですが、子どもから老人まで幅広く、その人に合う髪型を提供することはもちろん、今の流行の髪型を研究して新しいスタイルや技術を身に付けることにも、やりがいを感じますね。常連客が多いのですが、新しい人が常連になってくれると、とてもうれしいです。

ちなみにベトナムの路上散髪屋は、シャンプーなしが基本です。水を髪にふりかけたりもしないドライカットです。ひげそりはやっています。お客さんは路上でひげをそられても、恥ずかしくは思いません。仕上げに香りのいいトニックをかけたりはしません。路上の店はもともと設定料金が格安なので、常連客が付くかどうかは、技術&人柄次第です。

■逆に今の仕事で大変なこと、嫌な点は?

路店なので、天候などによって客足が大きく左右されるため、収入が不安定なのが1番の悩みどころです。他の理容室は日曜日も営業し、平日に休日をとるのが一般的ですが、私の店の周辺は日曜日に人通りが少ないため、日曜日に休みを取り、平日は全日営業するようにして、収入を安定させる努力をしています。

■ちなみに、今日のお昼ごはんは?

近くの食堂からごはんとおかずの出前を取っています。ごはん、スープ、おかず1品で約3万ドン(約147円)。料金はおかずの種類や量によって違いますが、ティッコーチュン(卵と豚の角煮)がお気に入りです。

ティッコーチュン(卵と豚の角煮)

■日本人のイメージは? あるいは、理解し難いところなどありますか?

やはり裕福な国、というイメージがあります。また、以前は特に意識していませんでしたが、最近多くの日本の会社が橋や道路を整備してくれたりしていると聞くので、日本人に対するイメージが特に良くなりました(笑)。

■最近TVやラジオ、新聞などで見た・聞いた日本のニュースは何ですか?

特に日本のニュースは聞かないですね。でも最近、日本の企業がベトナムに多く進出してきているというのは知っています。

■休みのとりかたは?

朝8時から18時までの営業時間で、週6日働いています。休みは日曜日で、月に4日。自営業なので休みは自由にとれますが、お客さんが少ない日などもあるので、旧正月のテトを除けば、なかなか長期で休むことは難しいです。

■将来の仕事や生活の展望は?

基本的には家族を養えるだけの収入があればそれで十分ですが、できれば将来、路店ではない自分の店舗を持ちたいと思っています。これまでずっと理容師として働いてきましたし、髪を切ることは好きなので、他の仕事につくことは考えていませんね。