東京工業大学(東工大)は8月29日、共役系高分子の1つであるポリフルオレン単一鎖からの電界発光の観測に成功したと発表した。

同成果は、同大大学院 理工学研究科のバッハ・マーティン教授、総合理工学研究科の彌田智一教授らによるもの。詳細は、「Nature Communicationss」のオンライン版に掲載された。

今回、ブロック共重合体のミクロ相分離状態で見られるナノシリンダ構造の中に、ナノシリンダ材料と相溶性が良いポリフルオレンを導入することで、個々のポリフルオレン鎖を高密度に分離して実現した。

具体的には、ポリフルオレン1本鎖からの電界発光(EL)スペクトルを観察することで、青色高分子ELの劣化時に観測される緑色発光の発現の新たな要因を発見した。また、量子化学計算により、緑色発光がEL素子内に存在する電荷によってポリフルオレン鎖の凝集状態が促進されて生じることを明らかにした。この成果は、高耐久性の青色発光共役系高分子の設計、そして高分子ELディスプレイや照明の高耐久性に寄与することが考えられるとコメントしている。

(A)作製したEL素子の構造、(B)ELスペクトルの時間変化、(C)各時間におけるELスペクトル、(D)用いたポリフルオレンの化学構造、(E)個々のポリフルオレンのELスペクトルのピーク波長のヒストグラム