古河電池と凸版印刷は8月29日、紙製容器でできた非常用マグネシウム空気電池「マグボックス」を共同で開発したと発表した。

同製品は、マグネシウムを負極物質、空気中の酸素を正極物質とし、水や海水を投入して発電させる電池である。大容量かつ長期間保存が可能で、非常時に水を入れるだけで、多くの携帯機器に電力を供給することができる。具体的には、負極に用いるマグネシウムは塩水に溶けやすく、原子が放出する電子の量も多いため発電効率が向上する他、正極で酸素の反応を活性化させる触媒として、従来はプラチナやレアメタルを使用していたが、古河電池の独自技術により、レアメタルを使用しない酸素還元触媒を使用することでコストを削減した。また、マグネシウム空気電池は外部の空気を取り入れるため、水密構造を維持して大型化するのが困難だった。これに対し、古河電池と凸版印刷は、両社の既存技術を融合させ、電解液が漏れにくく、かつ実用的な容量を確保する構造を実現したという。この他、使い捨て電池として使用後の廃棄が容易となるよう、環境に配慮した紙製容器を使用している。本体には、USBタイプの出力端子を2個装備し、スマートフォンを最大30回充電できるという。

なお、古河電池は「マグボックス」の開発・製造・販売を行い、凸版印刷は「マグボックス」の紙製容器である、セル外装材ならびに外箱の開発・製造を行う。12月中旬の発売を予定しており、主に県市町村など地方自治体向けに販売していく。

紙製容器でできた非常用マグネシウム空気電池「マグボックス」