「浴衣のデザインをどう思いますか?」

この夏も花火大会や盆踊り、お祭りなどがたくさん開催されました。そんな時には、駅などで浴衣姿の女の子たちを見かけることも多かったのではないでしょうか。今年はカップルで浴衣を着ている人も多く、たっぷりと夏らしさを感じさせてもらいました。普段は着ない浴衣でおしゃれしようという心意気もすてきですよね。夏らしいことが何もできなかった筆者も、そんな姿に触発されてうっかり浴衣を購入してしまいました…。

そんな日本人にもある種の魔力を持っている浴衣ですが、外国人の方にはどう写っているのでしょうか。そこで、日本在住の外国人20名に「浴衣のデザインをどう思いますか?」と質問してみました。

■かわいいしおしゃれです。(タイ/30代後半/女性)
■美しくてかわいい。(スウェーデン/40代後半/女性)
■かわいいと思います。(フィリピン/40代前半/女性)
■かわいいと思う。(アルゼンチン/30代前半/男性)
■かわいいと思います。(マレーシア/30代前半/男性)
■かわいいです。(ベトナム/30代前半/女性)
■かわいいと思います。(ペルー/30代前半/男性)
■かわいいです。(イスラエル/30代後半/女性)
■きれいだと思う。(チュニジア/40代後半/男性)
■とてもいい。(ロシア/20代前半/女性)
■模様がかっこいいです。(スペイン/30代後半/男性)
■かっこいい。(オーストラリア/40代前半/男性)

大半の意見が肯定的。特に「かわいい」という回答が目立ちます。浴衣って、花火や夏のイベント時期になると、普段は着物に興味がない若い人にも「着てみたい」と思わせる不思議な魔力があるんです。

また、「ふりふ」のように着物を身近に楽しもうというお店ができたり、ミントデザインズなどファッションブランドから浴衣が発売されていたりという状況を見ても、日本人としてはやはり見逃せないアイテムなのでしょう。着物や浴衣は海外の方には人気が高い伝統衣装ですが、それを着た人が多く集う光景って、意外と見ることが難しいんですよね(お正月の時期は寒いですから…)。

その点、浴衣はわりとそういう機会が多いもの。花火大会などで見かけたとしたら、きっと迫力はひとしおでしょう。そしてなぜか、そういう場にいる浴衣姿のみなさんは、柄に負けないくらいの笑顔と雰囲気を持っています。本当に女性は「かわい」くて「きれい」だし、男性は「かっこいい」。海外の人が驚くのも当然なんですよね。

■最近は現代的でかわいい物も出てきていいと思う。(イギリス/20代前半/女性)
■新しい浴衣のデザインの奇抜さに驚きます。(ドイツ/40代前半/女性)
■派手でないものはかわいいです。(アメリカ/20代後半/男性)

昔の浴衣は、紺地か白地に花や動物を描いた伝統柄が大半でした。しかし、今では幅広い色やモチーフ、デザインの中から選ぶことができます(浴衣なのでそれなりの方向ではありますが)。ブランドが出す洋服テイストの柄、ギャル寄りの派手柄などもありますが、「奇抜さに驚かされる」という回答はこの辺りのデザインかも知れませんね。

逆に、ここ1~2年で国内人気が高いのは、「撫松庵」のように伝統柄を今風に解釈したレトロモダン柄。こちらは「派手でないもの」になると言えそうです。ちなみに筆者は、麻の葉柄や小紋が気になっています。

■柄がいろいろあって好きです。トイレは大変だと思いますが。(トルコ/30代前半/女性)

日本の浴衣(着物)のすごい所は、ボタンもホックも使わず、身体に沿った形を作ること。でも、これが着崩れの原因にもなるんですよね……。着崩れが最も起こりやすいのが、重ねた布が引っ張られて大きく動く着座と、回答にもあるトイレです。そうならないためにも腰紐や伊達締め、帯などできっちり止めていくわけですが、土台がしっかりしていないと壊れやすいのは家も着物も一緒。でも逆に、着付けが上手く行っているとトイレはわりと楽なんですよ。

■便利です。(韓国/40代後半/男性)

旅館などで着られた経験がある方かもしれません。先ほどボタンもホックも使わず……と書きましたが、ここが便利さにおいてもポイントになります。洋服は体型が変化するとそれに合わせた洋服を買わなくてはいけませんが、着物はその必要がありません。元々寸胴体型のほうが似合いやすいだけに、少々の変化なら紐や帯の締め方で対応することができてしまうからです。

例えば、朝ドラの「花子とアン」では、妊婦になった花子が、独身時代の着物をお腹まわりを緩めた形で着付けている姿が見られます。今のように毎シーズンごとに衣服を買い換えるサイクルではなかったはずですから、長く着続けられるようにする(子どもにも譲ることも含めて)ための工夫でもあったのでしょう。伝統衣装の機能性を感じる部分です。

■日本らしいです。(中国/20代後半/女性)
■日本らしい。(台湾/40代前半/男性)

おせちや暦の行事、日本の物事にはすべて意味があるように、着物や浴衣の伝統柄にも意味があります。例えば「つばめ」は、「夫婦円満」や「家庭円満」の象徴。鳥は元々幸せを運ぶとされますが、なかよく雛を育てる性質から特に恋や夫婦に繋がっているとのこと。

また、正六角形の幾何学模様「麻の葉」は、「成長祈願」や魔除けの意。麻が丈夫に育つことに由来します。「菖蒲」は尚武に通じるため「必勝」、「礼儀正しい」などの意や魔除けの力があるそう。その他にもさまざまな意味がありますので、興味がある方は調べて見てくださいね。

■女性用はかわいいが、男性用はそれほどかっこよくないと思います。(ブラジル/20代後半/男性)

柄が女性用に比べて地味、という意味での「かっこよくない」ということでしょうか。たとえば、明治~昭和前半時代のカンカン帽に浴衣をあわせた姿は粋ですてきだと思うんですが……国民性も関係していそうですね。

過ぎゆく夏を惜しむテーマとして、今回は浴衣を取り上げてみました。本当に海外の方の関心が高い衣装なので、海外の方とのお仕事が多い方や新たな交流を持ちたい人にもおすすめ。そんな時は浴衣の柄の意味やかつての日本の背景も披露できると盛り上がること間違いなしです。ぜひこの機会に、デザインも含めた浴衣について学んでみてください。