三菱エンジニアリングプラスチックス(三菱エンプラ)は8月27日、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末向けアンテナ材料として、比誘電率を約8まで向上させた高誘電ポリカーボネート樹脂を開発したと発表した。

近年、スマートフォン、タブレットなどの携帯端末は高機能化・小型化が進み、無線通信のアンテナに割り当てられるスペースはどんどん小さくなっている。このような中、一般の樹脂では比誘電率が3程度と小さく、小型のアンテナを設計することができないため、誘電率の高い樹脂材料が求められていた。

同社は、高誘電変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)を上市しているが、アンテナの製造プロセスによっては、使用する溶剤の関係でm-PPEが使用できない場合があった。そこで今回、ポリカーボネートをベース樹脂に使用した高誘電樹脂を開発。同材料は、高誘電、低誘電正接、低異方性、優れた成形性、寸法安定性を有している。また、ベース樹脂は、m-PPEとポリカーボネートの2種類がラインアップされている。

同社では、この他にもLDS用のポリカーボネートをラインアップしており、携帯端末のアンテナ用材料を幅広く展開していくとしている。

高誘電変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)の物性

高誘電変性ポリカーボネート(PC)の物性