古河電気工業(古河電工)は8月21日、ファインセラミックスセンター(JFCC)との共同研究で、電子線ホログラフィを用いた化合物半導体中の不純物分布解析手法を確立したと発表した。

詳細は、日本顕微鏡学会の「Microscopy」63巻3号に掲載された。

古河電工の光通信、産業用レーザ製品は、化合物半導体材料を用いて作製されており、微量の不純物を混入させてデバイス構造を設計している。これらの製品はナノレベルで構成されているため、製造および開発する上で、製品中の不純物分布もナノレベルで解析することが必要となっている。

今回、JFCCとの共同研究により、電子顕微鏡の1つの手法である電子線ホログラフィを用いて、pn接合のみならず、極めて微量な不純物濃度差を観察することに成功した。同手法は、2次元の複雑なデバイス構造を、ナノレベルで解析できるため、半導体デバイスの不良品解析や新商品開発に活用することができる。具体的には、同手法でデバイスの故障原因を明らかにし、設計や製造プロセスにフィードバックを行うことにより、長寿命かつ高出力の設計指針を得ることが可能となるとしている。

GaAs半導体の電子線ホログラフィによる位相像。p型半導体部において1019cm-3と1018cm-3領域が明瞭に識別できている