Mentor Graphicsは8月19日、組み込みコネクテッドデバイス向け高性能次世代アプリケーションに対応するリアルタイムOS(RTOS)「Mentor Embedded Nucleus」の最新バージョンを発表した。

最新バージョンは、「Nucleus RTOS」のプロセスモデルが拡張されており、ARM Cortex-Mシリーズに対するサポートも含まれている。単独の組み込みOSが、ARMコアの全領域に対応するメモリパーティショニング機能を実現するのは初めてで、同機能を通じてシステムの信頼性を向上させ、ローエンドデバイスからハイエンドデバイスまで、製品シリーズ全体にわたってコードを再利用することが可能になったとする。また、複雑なヘテロジニアスSoCのためにIPC(プロセス間通信)とプロセッサライフサイクルを管理するマルチコアフレームワークを備えており、Imagination TechnologiesおよびVivante Corporation製GPUのサポートなど、グラフィックス機能が強化されている。

さらに、「Nucleus RTOS」は、システムの信頼性向上のためのパーティショニングを実行しつつ、マイコンベースのデバイスに典型的なリソース制約のある環境にもスケーラブルに対応する。「Nucleus RTOS」のプロセスモデルは、ARM Cortex-Mプロセッサコア上に搭載されたMPUを利用して、仮想メモリなしでメモリパーティションを実現するとともに、フラッシュデバイスからの直接実行が可能なことから、メモリ容量の限られたデバイス内でも実行できる軽量な動作環境を維持する。これにより、厳格な信頼性要件を持つデバイスや、産業および医療機器の安全性要件に適合するよう設計されたデバイスのシステム信頼性を向上させる。

一方で、現在の複雑なSoCアーキテクチャは、アプリケーションクラスのコアとマイコンクラスのコアを組み合わせており、ヘテロジニアスの動作環境を単一デバイスに統合する傾向が強まっている。このような複雑性に対応するために、AMP(非対称マルチプロセッシング)を実行可能にするMentor Embedded Multicore Framework(MEMF)が「Nucleus RTOS」に搭載されている。VirtIO、remoteproc、rpmsgなどの各機能が新規実装されたMEMFを導入することにより、「Nucleus RTOS」、Linux、ベアメタルアプリケーションの統合が可能になり、ヘテロジニアスマルチOS環境内でのIPC、リソース共有、プロセッサ制御といった課題に対処できる。また、SoC上の各コアのブートアップとシャットダウンを個別に管理することから、アプリケーションの演算処理性能を最大化したり、利用状況に合わせて電力消費を最小化したりすることが可能になるとしている。