新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7月28日、将来の水素社会の実現に向け、水素エネルギーに関する社会の理解を一層深める観点から、「NEDO 水素エネルギー白書」を取りまとめたと発表した。

家庭用燃料電池や燃料電池自動車など、水素エネルギーの実用化が徐々に進もうとしており、日本のエネルギー政策としても、2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」においても水素が取り上げられるようになっている。

その一方で、本格的な水素エネルギーの活用に向けては、さまざまな取り組みを継続的に行っていくこと、広く一般に水素に対する理解を広めることなどが求められることから、今回の白書の発行に至ったという。

同白書は、全9章の構成で、水素そのものの特徴から、エネルギーとして利用することの意義、水素社会実現に向けた政策動向、製造、輸送・貯蔵、利用まで関連する技術動向、現状の課題と今後の方向性など、水素エネルギーを取り巻く国内外の情報が体系的に集約されたものとなっており、国内市場は2030年に1兆円規模の市場が立ち上がり、2050年には8兆円に達する見通しであること、ならびにエネルギーとしての水素の需要量を拡大させるための新技術の確立が重要であり、中でもガスタービンなどの燃料として水素を利用する水素発電技術が有望であること、そして、日本の課題である、エネルギー・セキュリティの確保、環境対策および産業競争力の強化の3つを実現する上で、水素社会の構築が不可欠であることなどが提言されている。

なお、同白書は7月30日以降、NEDOのWebページからダウンロードできる予定となっている。

「NEDO 水素エネルギー白書」の表紙。約180ページで発行される予定