月桂冠はこのほど、「冷用」をうたったびん詰清酒発売から80年、常温で流通可能な「生酒(なまざけ)」を発売して30周年となったことを発表した。

昭和初期の「冷用酒」チラシ

蔵元でしか飲めなかった生酒を常温で流通可能に

同社は、80年前の1934年(昭和9年)6月1日に「冷用」をうたったびん詰清酒を発売。冷用酒をアピールする当時のチラシには「冷用美酒月桂冠は、最新式冷凍装置の昭和蔵で、月桂冠イースト(酵母)によって新たに夏向きのお酒として醸出せられた純粋の生一本。実に待望久しき冷用酒、美味芳烈…」と商品特徴が解説され、「召し上がり方」は「井戸に釣るか、冷蔵庫へ」。「御下物(酒肴)は別に要らないが、果物などは結構でございます」と、フルーツをさかなに酒を飲む楽しみ方も紹介されたという。

「生酒」(280ミリリットルびん・参考小売価格326円・税別)

また同社は、1981年、火入れを一切しない生酒(当時の酒質は生酒の原酒)を、チルド(保冷)流通で地域・業態(飲食店)を限定して発売。翌1982年には販売地域を拡大し、さらに1984年、鮮度感を保つための技術の導入により、常温で流通可能な「生酒」を日本酒で初めて発売した。生酒は、酒もろみをしぼった後、火入れと呼ぶ加熱処理を全くしない酒のため、以前は蔵元でしか味わうことができなかった。

小容量びんの酒は「ぜいたくに味わいたい」

同社が行った調査によると、現在生酒や生貯蔵酒の容器として主流となっている小容量びんの日本酒は、「ぜいたくに味わいたい」という意向が市場規模の約半数を占めることがわかったという。そこで、同社は「生酒」(280ミリリットルびん・参考小売価格326円・税別)を今年3月に発売。また、これを期にレギュラークラスの生酒・生貯蔵酒を「生酒」に一本化し、しぼりたての鮮度感が味わえる点を訴求していくとのこと。