俳優の岡田将生が、蜷川幸雄が演出を手掛ける舞台『皆既食』で主演を務め、初舞台に挑むことがこのほど、明らかになった。

ランボー役の岡田将生(右)とヴェルレーヌ役の生瀬勝久(左)

蜷川が「最高のキャストがそろわないと実現できない」と上演の機会を模索してきた『皆既食』は、19世紀フランスを代表する天才詩人、アルチュール・ランボーとポール・ヴェルレーヌの軌跡を描いた作品。物語は、若く才気あふれるランボーと、その才能をいち早く見出したヴェルレーヌとの運命的な出会いから始まる。ヴェルレーヌは、突如現れたランボーに心揺さぶられながらも、美しい若妻への執着、厳格な義父母の干渉も断ち切れない。そして、2年間に渡る放浪と闘争の果てに待ち受ける別離と破壊、それぞれの孤独な最期が描かれる。

岡田は、世代を超えて人々の心をとらえ続けるスキャンダラスな存在、ランボー役を演じ、相手役ともいえる、ランボーに振り回されながら破壊へと向かう男、ヴェルレーヌには、生瀬勝久が決定。そして、ランボーと奇妙な三角関係を結ぶヴェルレーヌの若妻マチルダは中越典子、2人にとって最初の障害となるヴェルレーヌの義父は辻萬長、その婦人は加茂さくら、また、ヴェルレーヌの孤独な晩年に寄り添う娼婦は立石涼子が演じる。

ランボー役の岡田は「俳優の先輩方から舞台の面白さをたくさん聞いていたので、いつか挑戦したいと思っていました。25歳になるこのタイミングで、ランボーという演じがいのある役に出会えることを幸せに感じています」と喜びを表現。「演劇というものに真摯(しんし)に向き合っていきたいですし、蜷川さんや生瀬さんをはじめ、たくさん舞台を経験していらっしゃる方々にいろいろ教えていただいて精いっぱい頑張りたい」と意気込みを語った。

ヴェルレーヌ役の生瀬は「過去3回蜷川さんとご一緒していますが、物語の中心にいる人間は今回が初めてなので、楽しみですね」と期待。岡田について「彼が20歳そこそこの時に出会いました。いやあ美しい若者だなと思ったことを覚えています」とコメントし、「岡田の初舞台というところに期待が向かうかと思いますけど、僕も黙っちゃいないよということです(笑)。度肝を抜くような舞台にしたいと思っています」と気合を見せている。

また、蜷川は「主演の俳優がなかなか見つからなかったんです。そんな時、『繊細な演技がちゃんとできて、うまいなあ」と思っていた岡田将生君と一緒に仕事をしようということになり、ランボーを提案したら、『やってみたい』と言ってくれた。じゃあ、勝負掛けるか!(笑)ということに」と岡田起用の経緯を説明し、「彼の新鮮な演技に出会いたい」と期待。「これから岡田君、生瀬さんたちと、詩的な冒険をするのを楽しみにしています。ぜひともその冒険に立ち会って、魂を震わせてほしい」と呼びかけている。

なお、舞台『皆既食』は、 11月7日~29日に東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンにて上演。また、大阪でも、12月4日~7日にシアターBRABA!にて上演する。