大学ならたいていどこにでもある学生食堂。かつては、お金がない学生のために安くてボリュームがある食事を出す方に力が入っていたため、正直、味は"できる範囲で"という程度のところが多かった。だが、時代は変わり、今では大学の魅力のひとつに数えられるほど、個性的な学生食堂も増えている。

「カフェレストラン カンフォーラ」は観光客にも人気

中でもいま注目すべきは京都大学。もともと京都は世界的な観光地であるため、同大学の食堂には、世界中からの観光客も訪れるという。それだけに、大学食堂側も観光客を意識しているのだとか。

学生食堂は全7つ、全て一般も利用可能

京都大学の学生数は約3万人にものぼり、京都市周辺に3つのキャンパスを有している。これらのキャンパスの中には7つの学生食堂があり、そのほとんどを運営しているのが京都大学生活協同組合である。全ての食堂は一般の人も利用できるようになっている。とは言え、学生のための生協ではちょっとした"慣れ"が必要だ。そうした利用もあり、京都大学には普通のレストラン感覚で利用できる観光客用の店舗も用意している。

「7つある学生食堂の中で一般の方が利用しやすいのは、吉田キャンパスの西側、東大路通に面した西部会館の中にあるカフェテリア『ルネ』だと思います」と京都大学生協北部食堂店長の徳永洋文さん。ちなみにメニューは全ての学生食堂共通だが、ルネには「パフェ」と「ケバブ」という特別な人気メニューがある。

さらに生協では、大学正門の西側すぐ横に一般の人も利用できる「カフェレストラン カンフォーラ」を設けている。テラス席もあるオシャレなカフェで、豊富なメニューがそろっているが、中でも人気が高いのは、スープにメインディッシュ(サラダ添え)、ライスかパンがセットになった「今週のランチ」で、577円(税込)という手頃な値段設定がうれしい。

取材日は雨だったが、カフェテラスでのんびり学食をいただくことも可能

各店舗独自のメニューもあり!

学食は、どこに行っても同じメニューが食べられると紹介したが、なぜかちまたの噂では「敷地内の北にある食堂ほどおいしい」と言われている。その理由を徳永さんに聞いてみたところ、「北部食堂には、昔からオープンキッチン形式で食べたい料理や量などをオーダーメードできる『オーダーコーナー』があるからだと思います」という回答だった。

一般的に学生食堂は、どうしても昼休みに人が集中する。そのため、できるだけ早く多くの人に提供できるようなメニューが用意されているが、「オーダーコーナー」では、オープンキッチンから自由に食材を選べ、量も好きなだけ頼め、さらに注文を受けてから作り始めるため、できたてが食べられるので人気だという。

自分のこだわりでメニューが選べるので外れがないと評判の「オーダーメニュー」は、最近、中央食堂にも設けられた

「ぼっち席」や「ケバブコーナー」も

そして、カフェテリアルネにある「ケバブコーナー」は、京都大学にはイスラム圏からの留学生も多いことからつくられた。「イスラム文化センター」の監修を受けて、イスラム教で禁じられている食べ物は一切使用しない「ケバブプレート」などを提供しているため、留学生なども安心して食事できるので好評だという。

また最近、新聞やTVなどでも紹介されたが、通称「ぼっち席」と呼ばれる、衝立を立ててひとりで食事ができる席も中央に設けられている。「大きなテーブルをひとりで使うのに抵抗があって、さらに人の視線を気にせず食事ができる席が欲しいというリクエストに応えて設けたものです」と徳永さん。

「ケバブコーナー」には「イスラム文化センター」が監修している証明書が掲げられている

京都大学には、生協が手がけているもの以外に、有名な時計台がある時計台記念館には同じく一般にも開放されている「フレンチレストラン ラトゥール」もあるので、京都観光の際に寄ってみてはどうだろうか。

※記事中の価格・情報は2014年5月取材時のもの