FOVEは7月25日、家庭用視線追跡型ヘッドマウントディスプレイ「FOVE」を発表した。

同製品は、Field Of View(視界)を広げる製品を目指し開発が進められている。最大の特徴は、視線追跡機能と傾き検知機能、ヘッドトラッキング機能を組み合わせて実現した、目の動きで360度の仮想世界を自在に操作できる点にある。これまでのヘッドマウントディスプレイでは、視線追跡機能がないため、マウスによる平面に適した操作がメインとなっており、奥行きある仮想世界での操作が困難だった。これに対し、「FOVE」では、独自の視線追跡アルゴリズムで目の動きを読み取り、ゲームなどの3次元空間において素早く正確な操作が可能になる。

また、従来の仮想世界では視差がなく、すべての物体に焦点があってしまうため、現実世界との違和感があった。「FOVE」は、目が見ている3次元上の座標を特定することで、見つめた位置がはっきり見え、見ていないところがぼける焦点表現を仮想世界で実現し、リアルなゲーム体験を創造する。同技術を活用することにより、自らがゲームの世界に入り込むような没入感を体験できるだけでなく、目の動きにより、意思を伝えるコミュニケーション支援機器として、医療領域への展開も計画しているという。

なお、すでに主要機能を実装した試作機の開発を終了しており、2015年夏の開発者向けキットの発売に向け準備を進めているという。また、FOVEは7月16日、Microsoft Ventures Londonアクセラレータプログラムに、日本企業として初めて採択された。今後は、同プログラムに参加し、ゲーム領域におけるMicrosoftのXbox事業との連携を視野に、グローバル市場での普及を目指して活動していく。直近では、12月にロンドンで行われるデモデイにて、プロトタイプの発表を目標とすると同時に、新たなゲームを開発するためのFOVE専用SDKの準備を進めるとコメントしている。

家庭用視線追跡型ヘッドマウントディスプレイ「FOVE」

視線追跡機能のイメージ