富山県高岡市・射水市のハイブリッドトラム実走事業実行委員会はこのほど、同委員会が主催する「ハイブリッドトラム実走事業」の一環として、鉄道総合技術研究所が開発した架線・バッテリーハイブリッドトラム「ハイ!トラム」(Hi-tram)の走行を万葉線で実施すると発表した。

「Hi-tram」は、同研究所が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との委託契約に基づいて、2007年に開発した車両。

車両に搭載したリチウムイオン二次電池と架線のハイブリッド運転(電池と架線の双方から同時にエネルギーを供給または返還しての運転)が可能で、回生失効を防ぐ。

駅停車中の60秒の急速充電(600V×1000A)で、空調最大負荷状態でも約4km連続走行が可能なほか、異なる架線電圧(DC1500V/DC600V)に対応するので、鉄道線と軌道線の直通運転も行える。

「Hi-tram」の外観 写真:鉄道総合技術研究所

車内のバッテリーの配置状態 写真:鉄道総合技術研究所

同研究所は、ハイブリッド走行時の省エネ割合、剛体架線からの急速充電、バッテリー1充電連続走行などの試験を行った。

急速充電の設備 写真:鉄道総合技術研究所

1000A×60秒の急速充電試験結果 資料:鉄道総合技術研究所

走行試験は札幌市電とJR四国の予讃線・高徳線で行われた。札幌市電では、バッテリー1充電で25.8kmの走行距離を達成し、既存インバータ車と比較して10%以上の省エネルギー効果があったという。予讃線・高徳線では、バッテリー1充電で50.7kmの走行距離、高松・屋島間往復19kmのバッテリー走行を達成した。

札幌市電を走る「Hi-tram」 写真:鉄道総合技術研究所

札幌市交通局営業線における走行試験の結果 資料:鉄道総合技術研究所

多度津駅での「Hi-tram」 写真:鉄道総合技術研究所

高松駅ホーム直前の「Hi-tram」 写真:鉄道総合技術研究所

JR四国の予讃線・高徳線における走行試験の結果 資料:鉄道総合技術研究所

万葉線(軌道線:高岡駅停留場~六渡寺駅8.0km、鉄道線:六渡寺駅~越ノ潟駅 4.9km、合計 12.9km)での車両走行は、7月21日から8月13日まで実施される。今回は、道路併用軌道区間と専用線区間の直通走行となり、両区間での走行エネルギー量や1充電航続距離の把握なども実施する。