カルピスは7月14日、「カルピス酸乳」の発酵過程で生じる乳由来の2種類のペプチド「VPP」および「IPP」に、更年期に起こる血管内皮機能および血管柔軟性の低下を改善させる効果があることを動物試験で確認したと発表した。

同成果は、同社発酵応用研究所ならびに国立循環器病センター心臓血管内科部長の北風政史氏らによるもの。詳細は、7月10日~11日にかけて開催された「第46回 日本動脈硬化学会」にて発表された。

これまでの研究から、「VPP」と「IPP」は、血管内皮機能改善、動脈硬化抑制、血管年齢の若返りなどの可能性があることが報告されており、研究グループではこれらのペプチドを「年齢ペプチド」と名づけ、有用性の実証を進めてきたという。

血管機能は加齢に伴い低下するが、中でも女性は45歳頃を過ぎ更年期に入ると血管内皮機能が低下し、その状態が続くことで血管が硬くなり、動脈硬化の発症が加速することが知られている。今回の研究では、「年齢ペプチド」が更年期に起こるそうした血管機能障害に与える影響の評価を行ったという。

具体的には、更年期の症状を示す卵巣摘出ラットを3群にわけ、それぞれに、水、水に「VPP」、「IPP」を溶解したものを、また対照群として更年期の症状を示していない健常なラットに水を24週間自由に飲水摂取させた後、血管内皮機能の指標である、血管拡張度と血中NO濃度、また血管の硬さの指標である脈波伝播速度(PWV)の測定を行ったという。

その結果、モデルラット群では、更年期障害に伴い血管拡張度が有意に低下したものの、「VPP」、「IPP」を摂取させた群では、血管拡張度の低下が有意に抑制されたほか、血中NO濃度も同様の結果を示すことが確認された。

また、モデルラット群では更年期障害に伴い脈波伝播速度(PWV)が有意に上昇し、血管が硬くなったが、「VPP」、「IPP」を摂取させた群では、脈波伝播速度の上昇が有意に抑制され対照群と同程度の柔軟性を示すことも確認されたという。

研究グループでは今回の結果について、ヒトにも応用が可能であり、更年期を迎えた女性の動脈硬化や循環器疾患の予防に役立つ可能性が考えられるとコメントしている。

血管拡張度の比較

血管柔軟性の比較