エクストリコムジャパンは7月15日、大型施設向け無線LANスイッチ「LV-2000」を日本市場で2014年8月より本格的に販売開始すると発表した。

エクストリコム(Extricom)は、2002年にイスラエルで設立された無線LAN専用ベンダー。日本法人は2007年に設立され、病院、大学を中心にすでに300ユーザーがいるという。

海外では、2013年NBAオールスターゲームの会場(トヨタセンター)で観客向け無線LAN環境を提供したほか、英マンチェスターMENアリーナ、米ラスベガスのホテルでの利用実績がある。

同社では、無線LAN用スイッチと無線LANアクセスポイント(AP)を提供するが、同社の製品の特徴は、無線LANアクセスポイントとスイッチの組み合わせで提供され、本来、APがするべき役割をスイッチが行うという特徴がある。APはアンテナの役割で、スイッチが大きなAPのとして振舞う。そのため、スイッチをハードウェア処理で高速化しているという。

エクストリコム 製品構成

無線LANスイッチ「Extricom MS-1000」(既存製品)

無線LANアクセスポイント(左かExtricom RP-32n/RP-22En/RP-22n(既存製品)。これらはIEEE802.11a/b/g/n対応だが、8月にはac対応のAPもリリースされる

エクストリコムジャパン 営業本部長 安藤博昭氏

エクストリコムジャパン 営業本部長 安藤博昭氏は無線LANの課題として、適切なアクセスポイントに接続しないと、全体のパフォーマンスが落ちる点、アクセスポイントとの距離で通信速度で決まるため、端末が増えれば、非効率になる点、同一チャネルを利用することでアクセスポイント間の電波干渉が起きる点、アクセスポイントを切り替えるためのローミングで、無駄なパケットが増え、端末台数が多い場合に通信容量に影響を与える点を挙げた。

そのため、同社の無線LANスイッチには、このような課題を解決するためチャネル・プランケット・アーキテクチャが搭載される。同アーキテクチャでは、APは1つのチャンネルですべてのエリアをカバーし、全体で1つの通信エリアを構築する。そのため、同一周波数帯の外来電波からの影響を極小化し、セル計画、設計が不要になるという。

チャネル・プランケット・アーキテクチャ

また、同社の製品では、アップリンクは常に近隣の複数APとリンクを張っており、スムーズなローミングが可能なほか、ダウンロードは、常にもっとも近いAPが自動的に選択されるため、距離よる通信速度の低下がないという。

スムーズなローミング

ダウンロードは、常にもっとも近いAPが自動的に選択

今回、日本で販売開始するLV-2000は、最大16,000台のクライアント端末からの同時無線LAN接続を可能にする機能を備え、大学や学校におけるノートPCやタブレットを使用した授業での無線LAN利用から、スタジアムや大会議場などの大型施設利用まで、多台数のクライアント端末に対する無線LAN通信環境を提供する。

日本市場においては、アライドテレシスなど販売パートナー各社と協力して、主にスタジアム、大規模会議場を主要市場ターゲットに据えて、LV-2000の販売活動を推進していくという。なお、LV-2000の参考価格は、最少構成(LV-20001台とAP10個程度)で約500万円からとなる。 

Extricom マーケティング&プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデント Haim Rapoport(ハイム・ラポポート)氏は、Skypeで記者発表に参加し、1つのAPで100-150の端末をカバーでき、他社よりも1つのAPがカバーする端末数が多いため、コストが削減できるとした。