STMicroelectronicsは7月10日、放射線耐性を備えた「Rad-Hard」製品のポートフォリオに、米国の300krad QML-V認証を取得したLVDSドライバ、LVDSレシーバ、およびLVDSマルチプレクサを追加したと発表した。

同製品群は、実績のある130nmプロセス技術と、専用のチップアーキテクチャおよびレイアウトルールを組み合わすことで優れた放射線耐性と電気特性を実現しており、競合ソリューションの性能を上回っている。また、今回の開発は、今後の官民の人工衛星プロジェクトへの使用を目的とし、フランス国立宇宙研究センター(CNES)ならびに欧州宇宙機関(ESA)の支援を受けている。ST製品は、QML-Vの認定も取得しているため、世界各国の宇宙機関や事業者による使用時の承認にも対応できる。

なお、同ファミリは、ドライバ/レシーバIC「RHFLVDS31A/32A」、LVDSデュアルトランシーバIC「RHFLVDSR2D2」、およびクロスポイントスイッチIC「RHFLVDS228A」で構成されている。これらの製品は、重イオンが存在し総吸収線量の高い環境において、高い堅牢性を発揮する。「LVDS31A/32A」の場合、最大135MeV.cm2/mgまでSEL(シングルイベントラッチアップ)を発生させずに動作し、クラス最高のSET(シングルイベントトランジェント)耐性を持ち、総吸収線量300krad(MIL-STD-883 TM1019)まで安定した静的・動的特性を備えている。さらに、入力共通モード範囲は、3.3Vといった低い供給電圧で動作する場合も含め、-4V~+5Vと広くなっている。そのため、システム接地電位における変化の許容値が増加し、接地に関する課題を緩和することで設計を簡略化できる。

この他、競合製品と比較して、短い伝播時間と少ないチャネル間スキューを特徴としているため、チャネル間の同期を良好に保ちつつ高いデータ転送レートを維持するとともに、低消費電力を実現している。加えて、供給電圧の絶対最大定格(AMR)が4.8Vと優れており、宇宙機関の定めるディレーティング規則に準拠するため、例外申請が不要である。その他、LVDSの入出力ポートが8kV(HBM)のESD保護機能を搭載するとともに、すべてのピンがフェールセーフ動作するためのコールドスペア機能を備えている。

300krad QML-V認証準拠のLVDS製品群。ドライバ/レシーバIC「RHFLVDS31A/32A」、LVDSデュアルトランシーバIC「RHFLVDSR2D2」、およびクロスポイントスイッチIC「RHFLVDS228A」で構成されている