経済協力開発機構(以下、OECD)は8日、報告書「Making Mental Health Count」を発表した。それによると、多くの国において精神医療に対する資源が不十分であり、優先順位が低いことがわかった。

世界の人口の2人に1人は、一生涯の中で精神疾患を経験すると考えられ、就職の見込みや賃金、生産性に影響を与えると分析。重度の精神疾患を持った人は通常より20年ほど早く死亡し、失業する可能性も6~7倍高くなっていた。また、精神疾患の直接・間接的コストは、多くのOECD諸国でGDPの4%を超えると推測している。

全ての国で精神疾患は完治されず、精神疾患を持った人のうち3分の1から2分の1が治療を受けていないことも判明。うつ病や不安神経症などの軽・中等度の精神疾患の有病率は高く、常に就業年齢人口の15%が罹患しているという。さらに多くの場合、十分な治療を受けられず、世界全体でうつ病患者の56.3%が適切な治療を受けていないことも明らかになった。

日本の精神医療については、他国に比べて「脱施設化」の点で後れを取っていると指摘。日本の精神病床数はOECD諸国の中で最も多く、10万人当たり269床となっている。

日本の自殺率を見ると、2000年から2011年の間に6.3%減少したものの、OECD平均の10万人当たり12.4人に比べて、日本は20.9人と依然として多い。このほか、うつ病や不安神経症などの軽・中等度の精神疾患にも留意すべきとしている。