岡山大学は7月3日、汚染土壌を濾過する濾布交換作業を自動で行うロボットシステムを開発したと発表した。

同成果は、同大 自然科学研究科の見浪護教授らによるもの。濾過器や脱水機、ポンプなどを手掛ける石垣と共同で行われた。

東北地方太平洋沖地震に伴う原発事故に由来する放射線環境汚染問題が深刻化している。石垣は、汚染土壌の洗浄再生・減容化技術として、汚染土壌を洗浄し汚染土壌の80%程度を洗浄再生土として回収すると同時に、20%の高濃度濃縮汚染残土を生産するシステムにおいて、高濃度濃縮汚染残土を固形・減容化するフィルタプレス技術を開発し、その実証実験に成功している。しかし、高濃縮された汚染残土の固形・減容化処理工程における線量分布解析を行った結果、作業員の被ばく低減化対策としてフィルタプレス装置のロボットの自動化が不可欠だった。

そこで今回、研究グループは、石垣と共同で、完全自動フィルタプレス装置用自動濾布交換ロボットシステムを開発した。従来技術のロボットは工作物などの位置があらかじめ設定された位置と誤差が生じないことが前提となっており、加工物の位置決め誤差が発生すると、ロボットは正確に動作できなかった。特に、対象物の3次元位置・姿勢が変化する場合には作業は困難だった。これに対し、今回発表のロボットシステムは、3次元対象物の認識方法としてMOS(Move On Sensing)システムを構築しており、フィルタプレス装置の状況(濾布心棒の位置ずれなど)が変化しても、適応的に作業を継続できるという。

今後、研究グループは、完全自動フィルタプレス/ロボットシステムの実用化に向けて、石垣とさらに研究開発を進めていくとコメントしている。