ガートナーは7月2日(豪州シドニー現地時間)、データの物理的な場所は依然として重要だが、その重要性は急速に低下しており、2020年までにほとんどの企業・組織で法的場所・政治的場所・論理的場所の組み合わせがより重要になるとの見解を発表した。

リサーチ担当バイスプレジデントのカーステン・キャスパー氏は、「過去1年にわたり、データ・レジデンシ(residency)とデータ主権について多くの論議がなされてきた結果、数多くの組織で技術革新が停滞した」と述べている。

インターネットと愛国者法を背景とした米国プロバイダー優勢の状況に端を発しているこの論議は、「米国家安全保障局(NSA)が無断で個人情報を監視している」というエドワード・スノーデン氏の告発によってさらにヒートアップした。

キャスパー氏はまた、「ITリーダーは、法律顧問、顧客、規制当局、従業員の代表、企業経営陣、一般社会との間で、さまざまなレベルにおいてデータ・レジデンシの論議を交わさなければならないという複雑な課題に直面している。これらの課題に対し、ビジネス・リーダーは判断を下し、残存リスクを受け入れ、法的な不確定性、罰金や一般社会からの非難、従業員の不満、イノベーション不足による市場シェアの低下、冗長なITや古いITへの支出過多など、多種多様なリスクのバランスを取らなければならない」と警告している。

同社は、今後データが保存される場所として、物理的場所・法的場所・政治的場所・論理的場所の4つのタイプを挙げ、これらの組み合わせが重要になるとしている。

キャスパー氏によると、これら4つのタイプのいずれか1つだけでデータ・レジデンシの課題を解消することはできず、将来は、ハイブリッド型の環境になるという。企業・組織は複数の場所にデータを置き、複数のサービス提供モデルを活用すると考えられている。