千葉大、テラヘルツ波帯光渦を高効率に発生できるポリマー螺旋位相板を開発

千葉大学は7月1日、螺旋波面とドーナツ型の強度分布を持つ光(光渦)をテラヘルツ波帯で高効率に発生できる螺旋位相板を簡易な機械研磨技術によって開発したと発表した。

同成果は、同大大学院 融合科学研究科の尾松孝茂教授、宮本克彦准教授らによるもの。詳細は、米国の物理学協会誌「Applied Physics Letters」のオンライン版に掲載された。

光渦は、走査型レーザ顕微鏡の空間分解能を回折限界以下に向上できる光である。これまで光渦の発生は主として可視から近赤外で行われていた。一方、分子の指紋領域と呼ばれるテラヘルツ波帯は、様々な物質が強い吸収を示す波長域である。その特徴を生かした薬物検査やキュリティ検査、分子分光などのイメージング技術(テラヘルツ波イメージング)が近年注目を集めている。しかし、波長の長いテラへルツ波では、空間分解能が実用化に向けた大きな技術的障壁となっている。テラヘルツ波帯で光渦が高効率に発生できれば、テラヘルツ波イメージングにおいて回折限界を超えたマイクロメートルスケールの高い空間分解能を実現できる。また、光渦は、物質を螺旋構造体へ変形できることが知られている。したがって、テラへルツ波帯における物質科学にも貢献が期待できる。今回の研究では、テラヘルツ波帯で光渦を発生させるための螺旋型位相板をTsurupicaと呼ばれるポリマー樹脂を機械研磨することで開発したという。この螺旋位相板はテラへルツ波帯で85%以上の高い透過率を示し、60%以上の高い効率でテラへルツ波を光渦へ変換することができる。

なお、研究グループでは、同技術がテラヘルツ波イメージングで問題となる空間分解能を飛躍的に向上できる技術として応用が期待できるとコメントしている。現在、この螺旋位相板はパックスから購入できる。

テラヘルツ波帯で純度の高い光渦を発生させるため開発された狭線幅波長可変テラヘルツ波光源。テラヘルツカメラのフレームレート(10Hz)よりはるかに高速な繰り返しパルス動作が可能であるため、光渦の強度分布がカメラで直接計測できる。さらに、目に見えないテラヘルツ波のガイド光(可視光)も透過するポリマー樹脂であるTsurupicaを螺旋型位相板として用いることで、短時間で容易に光渦が発生できるようになった。今回、螺旋位相板は2THzにおいて一次の光渦が発生するように設計されているが、0.1~6THzの領域で透明で屈折率分散が少ないTsurupica螺旋位相板は、4THzのテラヘルツ波に対する2次の光渦も発生できる



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