山形大学は7月1日、ハンカチ程度の約20cm×20cmサイズで、食品ラップの1/10となる約1μm厚の柔らかいフィルムに、2種類のインクを用いて印刷プロセスによりトランジスタ回路を作製し、手でくしゃくしゃにしても、また、広げても作動することを実証したと発表した。

同成果は、同大 有機エレクトロニクス研究センターの時任静士卓越研究教授、福田憲二郎助教らによるもの。詳細は、「Nature Communications」に掲載された。

研究グループでは、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートの上に、有機半導体インクと銀ナノ粒子を含有した導電性インクの2種類を用いてトランジスタ回路を印刷で作製したと報告済みだが、用いたPETフィルムの湾曲性は数mm程度で、食品ラップのような柔らさはなく、人の体に貼り付けたり、枕、シーツ、衣類などに貼り付けて使用することはできなかった。

今回の研究では、ガラス板の支持基板の上にフィルムをまず形成し、印刷後にガラス支持基板から剥離させる手法を開発した。さらに、表面平坦化処理を施し、有機半導体インクと銀ナノ粒子インクの2種類をインクジェットプリンティング法によって線幅5μmで印刷して、トランジスタ回路を作製した。また、この回路を腕に貼り付けて動かしても、トランジスタの作動信号に変化がないことを実証したとしている。

トランジスタの断面構造の模式図。基板はパリレン-Cで、厚さは1μm

集積回路の外観写真。サイズは20cmx20cm