宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月27日、鹿児島県の種子島から5月24日に打ち上げた陸域観測技術衛星「だいち2号」のLバンド合成開口レーダー(PALSER-2)で取得した初画像を公開した。

写真1.「だいち2号」搭載PALSAR-2とこれまでの衛星の観測画像の比較(浦安市 東京ディズニーリゾート周辺)(提供:JAXA)

初画像は6月19日~21日に3mの分解能で撮影されたもので、だいち2号の設計通りの優れた性能を発揮した。千葉県浦安市のディズニーリゾート周辺の画像では、過去の観測衛星の写真よりも、分解能が飛躍的に向上し、橋や駐車場までくっきり捉えられた。また、伊豆大島の画像からは、昨年10月の大雨による土砂崩れの跡を明確に見ることができる。

写真2.「だいち2号」による伊豆大島の観測画像(提供:JAXA)

写真3.「だいち2号」による西之島の観測画像(右)と2月の航空写真(左)との比較(提供:JAXA)

写真4.「だいち2号」搭載PALSAR-2による富士山周辺の観測画像。(B)は富士山頂付近を拡大したもので、(C)の「だいち」の画像と比べると、山頂につながる道路や火口の状況がよく分かる。(提供:JAXA)

遠隔地の火山活動の継続的な監視にも威力を発揮しそうだ。東京から南に約1000㎞離れた西之島の画像は、2月に航空機から撮影された写真と比べると、東西の幅が1㎞から1.7㎞に伸び、面積が4カ月半で0.67平方㎞増えて、昨年11月に始まった火山活動で着実に広がりつつある島の姿がよくわかる。

富士山の画像からは、山頂付近の地形がくっきり捉えられた。2006年に打ち上げられた「だいち」の分解能10mの画像に比べてはるかに視認性が向上していた。ブラジル・アマゾンの5年間の森林減少面積や洪水の跡も定量的に把握し、各地の森林減少の観測に使える実力を見せた。

だいち2号は高度630~647㎞の地球周回軌道を南北に1周97.5分で回っており、悪天候や夜でも地上を撮影できる。初画像でも、曇りの深夜の撮影に成功した。初期機能確認試験を経て、8月中旬には定常運用の段階に移り、11月から画像の提供を始める。今後、地球観測衛星搭載のLバンド合成開口レーダーとして世界最高の性能で、昼夜にわたって地球のどこでも災害や環境の監視、観測に活躍することが期待される。

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