米国航空宇宙局は6月28日(米国時間)、開発中の低密度減速装置「Low-Density Supersonic Decelerator」の初実験をハワイ沖で行った。

LDSDは、将来の火星探査計画の一環として開発されているもので、探査時に宇宙船や探査機を安全に着陸させることを目的とした装置だ。

午前8時54分、LDSDはハワイ・カウアイ島の米国海軍基地から気球によって上空12万フィート(約36.5km)の高さまで運ばれた。11時5分に飛行を開始し、ブースターロケットによってさらに上昇して加速した後、Supersonic Inflatable Aerodynamic Decelerator(SIAD)と呼ばれるドーナツ状のチューブによって減速し、午前11時35分に着水した。

上空を飛行中の「Low-Density Supersonic Decelerator」 写真:NASA/JPL-Caltech

パラシュートが開くことなく着水したLDSD。回収船によって、海中から引き上げられた 写真:NASA/JPL-Caltech

計画では、巨大な超音速のパラシュートでさらに減速して、着氷する予定だったが、今回の事件では超音速パラシュートが開かなかった。

NASAは今回の実験について、「LDSDはよく飛び、SIADは完璧に展開されたので、ほぼ1年前倒しで第2の技術である超音速パラシュートのテストを行う機会を得た」としている。

今回の実験で得られたデータは、来年初めに予定されている飛行実験のために分析される。