東北大学は6月24日、既存材料を凌駕する高飽和磁束密度や低鉄損などの優れた磁気特性を有するナノ結晶合金を開発し、その製造技術にめどをつけたと発表した。

同材料は、Fe-Co-Si-B-P-Cuを主成分とするアモルファス合金であり、厳密な熱処理によって、アモルファス相を適切にナノ結晶化させることで高飽和磁束密度と低鉄損などの磁気特性を有している。同材料は、単ロール型液体急冷法により、幅120mmの薄帯として鋳造製造される。この薄帯を積層あるいは巻回により磁心とし、適切な熱処理を施すことで電磁鋼板に匹敵する1.84Tの高飽和磁束密度を実現した。また、金属学的アプローチにより結晶平均粒径を25nmに抑えることで、アモルファス合金磁心並の0.7W/kg(W1.7/50)の低鉄損も実現できたという。この磁心をトランスやモータに応用することで、大幅なエネルギー損失低減と機器の小型化が図れるとコメントしている。

なお、10月よりサンプル供給を開始する予定。

幅120mmのナノ結晶合金薄帯

ナノ結晶合金の結晶化組織