妊娠初期にはどんな症状が?

妊娠初期にはどんな症状が起きる?

妊娠すると、女性の体にはさまざまな変化が起こります。つわり、だるさ、眠気など、その多くは「つらい」と感じるものですが、実はそれらの症状が起こるには理由があるのです。原因を正しく知り、心の準備をしておくことで和らぐ「つらさ」もあるかもしれません。妊娠に気がつくきっかけとして「生理の遅れ」があり、その後妊娠検査薬の結果により、医師にかかる人が多いと思います。突然の体調の変化に戸惑わないよう、妊娠初期の体ではどのようなことが起こるのかご紹介します。

「つわり」のほかにもだるさや眠気など、人それぞれ

妊娠すると、女性の体の中ではホルモンの分泌量などが大きく変化します。いわば「体全体が全力で赤ちゃんを守り、育てようと働くため」の変化であり、そのために妊娠初期には、体にも心にもさまざまな症状があらわれることがあります。

妊娠初期に起こる症状の、代表的なものが「つわり」です。つわりの原因については、ホルモンの作用によるもの、赤ちゃんを異物ととらえる体の免疫反応、赤ちゃんの体が作られる大事な時期にママが無理をしないために起こるなど、さまざまな説がありますが、はっきりとは解明されていません。また、「吐いてばかりで何も食べられない」「においがダメ」「おなかが減ると気持ち悪い」など、症状や程度には個人差が大きく、ほとんどない人もいます。時期や期間にも個人差はありますが、一般的には2~3カ月でおさまることが多いため、この時期はあまり栄養のことは心配せず、食べやすいものを食べるといいでしょう。

つわり以外では、だるい、眠い、イライラする、落ち込む、便秘、胸の張りなどの症状が起こる人もいます。急激な体と心の変化に戸惑う人もいるでしょう。しかし、これらの症状は、ママになるための準備として起こるもの。「妊娠したらそういうこともある」と心の準備をし、自分の体の変化を前向きに受け入れられるといいですね。つらさを一人で抱え込まず、家族や先輩ママ、医師や助産師に話したり、気分転換したりという工夫も大切です。

流産の多くは妊娠12週未満の早い時期に起こるとされている

気をつけたい妊娠初期の「流産」

また、このような生理的な症状のほかに、妊娠初期にはおなかの中で赤ちゃんが亡くなる「流産」が起こることもあります。流産の多くは妊娠12週未満の早い時期に起こり、原因で最も多いのは、染色体異常など赤ちゃんの病気によるものです。妊娠初期には異常がなくても少量の出血や軽い腹痛が起こることがありますが、出血が続く場合や量が増える場合、強い腹痛を伴う場合などは流産や切迫流産(流産しかかっている状態)の可能性があるため、産婦人科を受診しましょう。

※画像は本文と関係ありません

善方裕美 医師

日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医
1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。

主な著書・監修書籍
『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』
『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』
『0~6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など