米Amazon.comは18日(現地時間)、同社が開発した初のスマートフォン「Amazon Fire Phone」を発表した。奥行きを感じる表示、独特のユーザーインターフェイスやジェスチャー操作を実現する「Dynamic Perspective」、カメラとマイクを活用した商品・コンテンツ検索機能「Firefly」、ユーザーサポート機能「Mayday」、13メガピクセル/F2.0レンズの高機能なカメラシステムなどを備える。価格は、AT&Tの携帯サービス2年契約で32GBモデルが199ドル、64GBモデルが299ドル。2年契約をしない場合は32GBモデルが649ドル、64GBモデルが749ドル。すでにAmazon.comで予約受付が始まっており、7月25日に出荷開始になる。

Amazon Fire Phoneのアプリ画面、デバイスとクラウドの表示切り換えが可能。

ホームカルーセル画面で、アプリを開くことなく、メールの削除や予定の確認などを行える。

Fire Phoneの主なスペックは以下の通り。

  • ディスプレイ:4.7インチ、解像度1280×720 (ピクセル密度315ppi)、Gorilla Glass 3
  • SoC:Snapdragon 800 (2.2GHzクアッドコア)、Adreno 330 GPU
  • RAM:2GB
  • ストレージ:32GB/64GB
  • カメラ:13メガピクセル、F2.0レンズ、光学ブレ補正対応(背面)、2.1メガピクセル(前面)
  • センサー:Dynamic Perspective、ジャイロスコープ、加速度、磁気、気圧、近接、環境光、GPS
  • ワイアレス:Wi-Fi (802.11a/b/g/n/ac)、Bluetooth 3.0、NFC
  • ネットワーク:UMTS/HSPA+/DC-HSDPA (850, 900, 1700/2100, 1900, 2100 MHz)、Quad-band GSM/EDGE (850, 900, 1800, 1900 MHz)、LTE (1, 2, 3, 4, 5, 7, 8, 17, 20)
  • バッテリー容量:2400mAh (動画再生最大11時間、音楽再生最大65時間)
  • その他:デュアルステレオスピーカー、マイク
  • 本体サイズ:139.2×66.5×8.9ミリ、160グラム
  • OS:Fire OS 3.5.0

Fire Phoneで撮影した写真は全てフルサイズでクラウドストレージ「Amazon Cloud Drive」に保存可能。付属のリモート&マイク機能付きヘッドフォンは、フラットケーブルでコードがからまりにくく、磁石で左右のヘッドフォンを一つにまとめられる。

Dynamic Perspectiveで新たな操作体験

発表会で強調されたのが片手での操作だ。片手に収まるように4.7インチのディスプレイサイズを選択し、すべらないようにフレームの外側にラバー素材を採用した。さらにDynamic Perspectiveが、従来のスマートフォンよりも片手での操作を容易にする。

立体的に表示されるマップ、ユーザーの動きに合わせて表示が動く。

端末を傾けて情報ウイジェット・パネルを引き出す。

Dynamic Perspectiveは、ユーザーの動きや持ち方、端末の動きに反応するカスタム設計のセンサーシステムだ。端末前面の四隅に装備した4つのカメラ/赤外線LEDを使ってユーザーの頭の動きをトラッキングし、加速度センサーやジャイロスコープからの情報も合わせてユニークな表示と操作体験を実現する。例えば、ロックスクリーンではディスプレイの向こう側に別の世界が広がっているような壁紙を楽しめる。ユーザーが端末を見る向きと端末の傾きを常に認識し、動的に表示を変更することで、奥行きと広がりのある表示を実現している。これをユーザーインターフェイスにも活用しており、例えば、マップでは端末を動かすと立体的に見える建物の向きが変わり、端末を傾けるとレストラン・店検索Yelpのレーティングが地図上に現れる。他にも、端末を傾けて各種メニューや通知・クイックアクションのパネルを引き出したり、ブラウザやKindleで長い文章を読むときには傾けて自動スクロールさせるなど、指でディスプレイに触れずに多くの操作を片手でこなせる。Dynamic PerspectiveはSDKが用意されており、サードパーティもDynamic Perspective効果を活かしたアプリをFire Phoneユーザーに提供できる。

Fireflyで掲示板のチラシを撮影し、書かれていた電話番号に直接電話をかける。

サポート機能Mayday。ビデオチャットに加えて、端末の画面に指示が描かれるので分かりやすい。

Firefly (ほたる)はカメラとマイクを使って取り込んだ情報から、商品(本、DVD、CD、ゲーム、電子機器など)、音楽、映画・TV番組、電話番号、Webページ、電子メールアドレスなどを認識し、対応するアクションにアクセスできるようにする機能だ。側面の音量調節ボタンの下にあるカメラ/Fireflyボタンを押すと、すぐに起動する。Fireflyもサードパーティ向けSDKが用意されている。

Maydayは、デバイス上で受けられる無料サポート機能だ。Maydayボタンを押すと、Amazonのテックサポートとビデオチャットでつながる。AT&Tのデータサービスからも利用可能。AmazonはユーザーがMaydayボタンを押してから、テックサポートが対応できるまでの時間を15秒以下にすることを目標にしているという。

Fire Phoneは、Amazon Music、Amazon Instant Video、Kindleなど、Amazonのデジタルコンテンツサービスを標準サポートする。音楽/ビデオ/電子書籍用のX-Ray、TVと連係するSecond Screen、ASAP、Whipersyncなどに対応。Primeサービス契約者は、Prime Instant Video(映画TVドラマのストリーミング)やPrime Music (音楽ストリーミング)にもアクセスできる。OSは、AmazonがAndroidを独自にカスタマイズしたFire OSの最新版v3.5.0。240,000個以上のAndroidアプリが登録されているアプリストアAmazon Appstoreを利用できる。