JR北海道は6日、「183系特急気動車のエンジン付近から出火したインシデントに対する原因と対策及び使用再開について」を発表した。キハ183系の使用再開にともない、8月1日から特急「北斗」「サロベツ」などが運転再開となる。

特急「サロベツ」(2012年撮影)。キハ183系を使用し、札幌~稚内間を走る

昨年7月6日に発生した特急「北斗14号」のエンジン付近から出火した事故以来、同種のエンジンを搭載する車両36両の使用を停止している。運輸安全委員会の調査を受ける一方、JR北海道も学識経験者や第三者機関を交えた対策会議を設置。過去の不具合事象までさかのぼって検討を重ね、再現試験による検証を行ったという。

同社は事故発生の原因に関して、「スライジングブロックの折損」「エンジンブロック破損」の2つを挙げている。

前者については、高速化を目的に燃料制御装置のサーボモータを大型化した結果、サーボモータのピストンストロークが必要な可動域を超えたことで大幅かつ急速に変位し、この異常な変位が繰り返し発生したため、スライジングブロックに設計想定を超えた大きな負荷が作用して折損に至ったとしている。対策として、燃料制御装置サーボモータピストン作動棒の可動域の調整機構(ストッパ)を新設し、さらに燃料制御装置のピストン内圧の急激な変化を抑制するため、油圧回路入口部に絞りを追加する措置を講じた。

後者については、スライジングブロックが破損した際、燃料噴射ポンプが燃料を供給し続ける方向に動く構造だったことからエンジンが過回転状態となり、これを検出してエンジンを止める構造になっていなかったため、エンジンのブロック破損に至ったという。対策として、燃料噴射ポンプコントロールラックへの戻しバネを新設し、過回転を防止する構造とするなどの措置を講じている。

これらの原因特定、および改善の措置を講じたことから、キハ183系の使用が再開されることに。函館~札幌間では、8月1日から下り特急「北斗5・9・15号」「スーパー北斗13号」、上り特急「北斗4・6・12・16号」が運転再開され、定期列車9往復の運転に。臨時の特急「北斗85・89・93号」(下り)、「北斗84・86・92号」(上り)は7月31日までの運転となる。札幌~稚内間では、8月1日から特急「サロベツ」1往復が運転再開となり、現在の定期列車2往復から3往復の運転となる。