複数の米報道機関は6月4日(現地時間)、米携帯電話3位のSprintと同4位のT-Mobile USAが合併で合意したという関係者の話を伝えている。SprintがT-Mobile株を1株あたり40ドルで買収し、その総額は320億ドルに達する見込みだ。もし買収が成立した場合、すでに1億契約を突破しているVerizon WirelessやAT&Tに匹敵する規模の巨大携帯電話企業が誕生することになる。ただし最大の難関は米当局による承認のほか、ライバル2社による買収阻止のロビー活動にどう対抗していくかという点にあり、買収に向けた動きはまだ今後も続くことになるだろう。

Sprintを子会社に持つソフトバンクの孫正義代表

同件はWall Street JournalNew York Timesなどが報じている。先月5月末にはT-Mobile USAの親会社である独Deutsche Telekomが同社のSprintへの売却を承認したという話が伝わってきており、当該2社による合意発表も間近とみられていた。直近のいずれかのタイミングで、両社より正式発表があると考えられる。

ただし、以前に米AT&Tが当局の介入とライバルらの反対によりT-Mobile買収を断念したように、今回のSprintによるT-Mobile買収もまたライバルの妨害や当局による審査という高いハードルをクリアする必要がある。もともとDeutsche Telekomは増え続ける投資負担から米国市場撤退を模索しており、件のAT&Tへの売却もそれを想定しての合意だった。今回のSprintへの売却もこの戦略の延長線上にあるとみられ、Deutsche Telekomによる売却承認とT-Mobile~Sprint間での合意は規定路線にあり、むしろ本番はこれからということになる。

現在米国はVerizon WirelessとAT&Tという圧倒的なトップ2社が市場の6割近いシェアを握っており、残りを中堅キャリアであるSprintとT-Mobile、そしてより小さな地域系キャリアや小規模キャリアがパイを分け合っている。もしSprintによるT-Mobile買収が成立すれば、トップ2社に匹敵するだけの規模の巨大キャリアが誕生することになり、投資や調達の効率化やユーザー規模で対抗がしやすくなる。Sprint親会社でソフトバンク社長の孫正義氏はSprintによるT-Mobile買収が米国での携帯電話の価格競争開始の口火となることを宣言しており、同氏の戦略にとってSprintによるT-Mobile買収は重要なマイルストーンに位置付けられている。今年後半から来年2015年前半にかけて、T-Mobile買収を巡る駆け引きが米国でヒートアップすることになるだろう。