ソフトバンクは6月5日、世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper」の開発および一般販売を発表した。同日、千葉県・舞浜の舞浜アンフィニティシアターでソフトバンクの代表取締役社長 孫 正義氏が記者会見を行なった。

孫氏はこの発表会を「100年後、200年後、300年後に、あの日が歴史的な日だったと言われるようになると思う。ロボット史上初めて、感情や心を与えることになった」とし、その意義を説明。その後、「Pepper」の紹介を行なった。

「Pepper」は6日よりソフトバンクショップの銀座店、表参道店で一般公開される。単純に「Pepper」を見られるだけではなく、「Pepper」自身が店舗内を動き回り、顧客対応も行なう予定だ。

「パーソナルロボット」と呼ぶように、一般家庭向けに販売する予定。19万8000円(税別)の価格で、2015年2月からソフトバンクショップやソフトバンクのオンラインストアで購入できるようになる。

Pepperの特徴は、単なるロボットではなく、「感情認識エンジン」を搭載した人とのコミュニケーションを図れるロボットである点だ。

Wi-Fiを搭載しており、クラウド上のデータセンターと接続し、各家庭やソフトバンクショップで得た知見、コミュニケーションスキルをそれぞれの「Pepper」にフィードバックしていく。

ベースとなるコミュニケーション能力のほかに、開発者が「ロボアプリ」と呼ばれるアプリを開発して「Pepper」の機能を拡張できるSDKも配布する予定。会場では、タレントと掛け合いを演じるなどのデモンストレーションも行なわれ、開発者にとって魅力あるプラットフォームの一端を見せていた。

サイズは1210mm(高さ)×425mm(奥行)×485mm(幅)で、重量は28kg。駆動時間はショップにおける利用を想定した場合で12時間以上。

移動速度は最大で時速3kmとなり、移動可能な段差の最大の高さは1.5cm。通信はWi-FiのIEEE 802.11 a/b/g/n(2.4GHz/5GHz)と、有線LAN(イーサネットポート1000base T)を1基搭載している。

センサーは、頭頂部に集音マイクを4つ搭載しており、相対する人間がいる方向を検知できる。ひたい部分にはRGBカメラが2つ搭載されており、人間の顔を認識。また、3Dセンサーが1つ、タッチセンサーが3つ搭載されている。

胸部にはジャイロセンサーが1つ、手にはそれぞれタッチセンサーが1つずつ搭載。脚部には、障害物との距離などを測るソナーセンサーが2つ、レーザーセンサーが6つ、バンパーセンサーが3つ搭載。また、ジャイロセンサーも1つ搭載している。

全身に20個のモーターが組み込まれており、頭や肩、肘、手首、手、腰、膝が自由に動く。胸部には10.1インチのタッチディスプレイを搭載しており、Pepperの感情を表わす色や、用意したアプリによってさまざまなコンテンツを表示できる。

OSは「NAOqi OS」を採用し、共同開発したALDEBARAN Robotics SASがすでに提供しているロボット「NAO」との互換性を持つ。「NAO」向けに開発されたアプリケーションを「Pepper」で、「Pepper」向けに開発されたアプリケーションを「NAO」で動かすことができる予定だ。